「どう考えても自転車はうつ病に良い」というツイートを見かけました。
「その通り!」と早速リツイートしました。
自転車がうつ病の症状を軽くする理由はいくつもあります。
ツイートの140字ではとても書き切れません。
「どう考えても」とは、どういうことなのでしょう?
いくつも理由があるということが言いたいようです。
「自転車はうつ病に良い」
と言っているのは、言い換えれば、
「うつ病の症状に悩まされている人が自転車に乗って出かけたり
サイクリングしたりすれば、うつ病の症状が軽くなったり回復に効果がある」
と言っているようです。
今回の記事は《うつ病の症状が自転車で軽くなる》
その7つの根拠についてじっくりと書いてみました。
① 日光を浴びる
自転車に乗る場所は普通は屋外です。
しかも雨や雪の日には乗らないのが普通です。
晴れている日に自転車に乗れば、ほぼ確実に
日光を浴びることになります。
曇っていても太陽の光は雲を通して届きます。
日光を浴びれば、人間の脳内では神経伝達物質セロトニンが分泌されます。
セロトニンは、幸福ホルモンとも言われ、
幸福感を感じている時に脳内で分泌される物質です。
うつ病を患っている人は、セロトニンの分泌が不足しているので、
幸福感を感じにくくなっているのです。
逆に言うと、セロトニンの分泌が促進されれば幸福感を感じやすくなり、
うつ病の症状である抑うつ感や悲愴感が軽くなるわけです。
つまり、自転車に乗る→日光浴びる→セロトニンが分泌される→うつ病の症状が軽くなる、
そんな連鎖の効果が期待できるのです。
身体に日光を浴びれば、体内でビタミンDが生成されることは、よく知られています。
最近の研究では、ビタミンDも、うつ病の症状から回復するのに
効果をもたらすと言う結果が報告されています。
自転車に乗って日光を浴びれば、
神経伝達物質セロトニンとビタミンDの両方が、
うつ病の症状を癒す力となってくれるのです。
② 風を感じる
普段の生活では感ずることのない感覚を味わうことができます。
顔に風が当たるとその感覚でスピードを感じることができます。
そんな非日常の感覚が、うつ状態で感じにくくなっている感性に
刺激を与えてくれ、周りからの刺激をとらえようとする本能を回復させてくれます。
③ 血行が良くなり、体温が上がる
自転車を漕ぐのはウォーキングと同じように負担の少ない有酸素運動になります。
心拍数が上がり、呼吸が大きくなり、酸素をたくさん吸収して、血行が良くなります。
これによって体温も上がります。
体温が上がれば、身体の免疫力が高まり、病気からの自然回復力も高まることになります。
④ 下半身の単調な回転運動
単調な回転運動をしばらく続けることによって、
浮かんでは消える色々な雑念に精神が
振り回さていれる状態から解放されます。
しかも、この単調な回転運動を続けなければ、
進むこともできなければ真っ直ぐ立っていることも
できないので、否応なしに運動を続けなければならない。
ひたすらペダルを踏むことに集中せざるを得なくなります。
これによってフロー状態(一つのことに「熱中」した状態)に入りやすくなります。
また、感覚が研ぎ澄まされてマインドフルになりやすくなります。
マインドフルというのは、いまこの瞬間にここで起こっていることに対して感覚が鋭敏になり、自分の思い癖や感じ方の傾向を遠目に見下ろす状態です。
精神がフロー状態やマインドフル状態になると、
うつ状態とは全く違った感覚を覚えることができます。
無心の状態になり自分から浮き上がっているような感覚を覚えることもあります。
⑤ バランス感覚が三半規管を刺激
自転車を走らせるにはいつも無意識のうちにバランスを保っていなければなりません。
身体は無意識のうちに、体のバランスセンサーである
三半規管からの信号に注意を傾けていることになります。
これは普段の生活ではあまり経験しない状態です。
バランス感覚が無意識のうちにフル活動している状態になると、
人間の脳はより本能的動物的な活動にエネルギーを集中することになります。
このことによって、逆に、ふだん色々な雑念に振り回される意識的な精神は、
その活動を休むことができます。
⑥ 毎秒変わる目前の事態に直感的・動物的に反応する
自転車に乗ると、バランス感覚だけでなく、
目の前に次々に起こる色々な事態に即座に反応するという事にも、
神経を集中しなければなりません。
これには一瞬の判断が要求されるので、
ここでもまた直感によって本能的・動物的に反応する必要が出てきます。
このようにバランス感覚をフル活動させたり、
目の前の事態に即座に反応したりすることによって、
脳の中の活動が健康なバランスを取り戻すことになるのです。
⑦ 脳内麻薬が分泌、ナチュラルハイに…
①~⑥で挙げたような、身体の心拍・呼吸・血行の上昇、
またバランス感覚や本能的・動物的反応の活動、
精神のフロー状態やマインドフルな状態、
これらがバランスよく穏やかに高まってきたとき、
脳の中ではいわゆる「脳内麻薬」という物質
(β-エンドルフィンやドーパミンなど)が分泌されて、
ナチュラルハイになりやすい状態になります。
うつ病の症状である抑うつ状態は、
繰り返されるストレスや長時間に及ぶ疲労などによって、
脳がそれ以上の強い刺激をブロックしようとする、一種の防衛反応です。
頑なにその防衛反応で固まっているうつ状態の脳内で、
少しでも「脳内麻薬」と呼ばれる物質が分泌されるようになれば、
その硬い防衛反応も少しずつ解け始めるのです。
自転車に乗って風を切って漕ぎ出せば、
身体も精神も健康を取り戻し、
また少しずつ喜びに満ちた世界を広げていくことができるでしょう。
これは自転車だけに限られたことではありません。
無理なくできるようであればジョギングなども
この例に反しません。
できる範囲内で積極的に取り組めば
効果は絶大です。