投薬20%、環境80%

抗うつ剤を始めとした薬を飲んでいれば
うつ病は治るものと考えていらっしゃる方
が多いのですが、はっきり言って、

これは間違いです。

困ったことに、患者さんだけでなく、精神科医はじめ、
看護師、薬剤師、医療福祉士など精神医療に携わる
スタッフさえ、このように考えている方が多いのです。
「こんなにいい薬出しているのに、なぜこの
患者さんのうつ病は治らないのか」
と悩んでいる精神科医がいました。

このような医師にうつ病を治療されている
患者さんは、正直かわいそうです。

確かに抗うつ剤を飲めば、脳の中の元気物質
が増えますし、抗不安薬を飲めば、
ベンゾジアゼピンの作用で沈静効果が
現れます。

しかし、いくら自分の合った抗うつ剤を
服用していても、普段、睡眠時間も
満足に取れない過労生活を続けていては、
返ってうつ病は悪化するだけです。

また、先に述べた、入院して毎回「修正型電気けいれん療法」
を受けていた患者さんも、退院後、
嫌なことがあるとすぐに
うつ病を再発していました。

さらに、「うつ病は薬を飲んで寝ていれば治る」
という考え方も間違いです。

寝方にもタイミングがあります。

本当に心身共に疲れきってしまって、
身体を横たえて何もしないでいるのは
確かに良い休息になります。

しかし、だらだらと中途半端に寝ていて
返って疲れをひどくしてしまうことも
あるのです。

うつ病の治療の最終目的は何でしょうか?

これ精神医学界でもいろいろと意見が
出ているテーマです。
私自身は、うつ病の最終目標は、
「その人自身の脳の動きを正常に戻す」
ことだと考えています。

人間は、脳が疲れきってしまってうまく
働かないと、生きていくうえで
様々な障害をきたします。

そして、脳の働きを回復させるには、
普段の生活の仕方が大きく関わって
くるのです。
もちろん、薬自体も人工的な面で、
脳の神経細胞に効率良く作用しています。

しかし、うつ病に関する限り、脳の構造
や機能自体が壊れてしまっているわけでは
ありません。

ですから、薬は脳の神経細胞のバランスを
整えるよう、必要際少量で良いのです。

以上をまとめて、
「うつ病の治療は投薬20%、環境80%が影響する」
と私は考えています。

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