長引くうつ病の誤診と薬漬けの危険性

長く続く重度のうつ病の症状と対処法

薬物療法を続けているのにうつ症状に改善が見られない場合、
他の病気をうつ病と誤って診断されている可能性もあります。

そのまま放置してしまうと、本来治療すべき病気が悪化してしまいかねません。
ここでは、うつ病の誤診による薬漬けの危険性について紹介します。

うつ病の治療を受けているものの、なかなか治らない。
そのことで不安を感じている人も多いのではないでしょうか。

うつ病治療の効果の出方には個人差があるので、
治療が長引く人もいれば、短期間で済む人もいます。

しかし、あまりにも長期に及んでいる場合は誤診の可能性もあります。
うつ病と誤診されやすい病気を紹介します。

うつ病と誤診されやすい病気

うつ病に間違われやすい病気の種類と特徴を解説します。

躁うつ病(双極性障害)

躁うつ病=双極性障害は、うつ病と同じ気分の障害が起こる精神障害ですが、
うつ病とは異なります。

うつ病は抑うつ状態が続くのに対し、
双極性障害は抑うつ状態と躁状態が交互にくりかえされます。

抑うつ状態の時は、うつ病の症状に非常によく似ているため、
誤診されやすくなりますが、双極性障害は、
うつ病よりも天気や季節に影響を受けやすく、

環境の変化に適応しようとする自律神経系に関係して
引き起こされると考えられます。

躁状態の軽度などにより、「双極Ⅰ型」と「双極Ⅱ型」に分類されます。

統合失調症

以前は「精神分裂病」と呼ばれていた病気で、
幻覚や妄想を見るといった症状が特徴です。
感覚や行動に変調をきたすので、周囲の人たちになじめないなど、
社会生活にも影響を与えます。

症状の初期に抑うつ状態が出て、うつ病と誤診されることがあります。

パーキンソン病

脳内の神経伝達物質の異常により、手足のふるえ、
動作や歩行が遅くなるなどの症状があらわれる病気。

顔の表情の変化がなくなる、感情が乏しくなる、
話し方が単調になる、などの症状があり、うつ病と間違えられることがあります。

認知症

脳や体の疾患を原因として記憶・判断力などに障害を起こす病気です。
もの忘れが多くなる、迷子になるといった初期の症状から始まり、
会話が困難になる、周囲の介助やケアが必要になるなど、
病気の進行につれ身体にも影響を与えていきます。

初期症状の認知機能の低下などがうつ病と似た状態をもたらします。

発達障害(ADHD)

日本では注意欠如・多動性障害と呼ばれる障害です。
落ち着きがない、忘れ物が多い、考えたことをすぐ口にしたり
行動してしまうといった、「多動性」「不注意」「衝動性」の症状があります。

障害による日常生活においてのトラブルが誘因となって
気持ちの落ち込みや自信欠乏、不安などから
うつ病と診断される場合があります。

自閉症スペクトラム障害(ASD)

幼児期より発生する脳の発達に関連する病気。
DSM-IVまではアスペルガー症候群との呼称で知られている疾病です。

通常と比べて他人とコミュニケーションをとることができない、
言語の使用に異常がある、同じ行動をずっとくりかえすなどの症状があり、

正常な社会生活を営むことが困難となります。

他人とあまり会話をしない、顔に表情が浮かばないなどの状態から、
うつ病と誤診されることがあります。

誤診による薬漬けが危険をもたらすことも

たとえば、双極性障害の場合、治療には炭酸リチウムなどの
気分調整薬が用いられるのが基本です。

しかし、うつ病では抗うつ薬が使われるため、誤診により、
異なる治療薬を処方され、結果、処方された薬を服用しているのに治らない、
といった状態になってしまいます。

病気が治らなければ、さらに別の薬を処方することになりますから、
薬の量だけが増えていき、結果「薬漬け」の状態になってしまうのです。

ちなみに、多種類の薬を飲むことは「多剤併用療法」と呼ばれる治療です。

多くの場合は病気の治りが悪く、病状が改善しないために薬が
1種類から2種類、3種類と増えていった結果です。

薬の数が多くなると、分量を間違えて飲んでしまう、
効果がないと自分で勝手に分量を変えてしまうなどの
トラブルを起こす危険もあるので注意が必要です。

誤診を疑ったときは

もし相談後も治療法や病状が改善されないときは
セカンドオピニオンを求めてみるのも手です。

最近では脳の血流量によって客観的に病状を診断できる
「光トポグラフィー検査」などの技術もあるので、活用してみてもよいでしょう。

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