「うつ病はこころの風邪。早く薬をのんで休養をとりましょう」
という啓発活動が、不適切な形で
広まっているのではないでしょうか。
考えないといけないこころの問題を軽視して、
薬で治そうとする患者さんが増えた気がしますし、
出す薬の種類を変えるしかしない医師が増えたようにも思います。
うつ病治療の主な考え方を記します。
- 身体疾患や薬剤がうつ状態の原因であったり、
うつ状態に影響を与えていたりしないか検討します。
もし可能性があれば、身体疾患の治療や薬剤の中止
あるいは変更を考慮します。この場合も、
うつ状態が重症であれば抗うつ薬療法を併用します。 - 身体疾患や薬剤が関係していない場合、
抗うつ薬療法を考えます。
ただし、うつ病が軽症である場合は、
抗うつ薬がそれほど有効でないとする報告もありますので、
抗うつ薬は期待される有効性と副作用を慎重に
検討する必要があります。また、躁うつ病のうつ状態では原則として抗うつ薬を用いず、
気分安定薬に分類される薬剤を処方します。 - 環境のストレスが大きい場合は
調整可能かどうかを検討し、対応します。
過去にいろいろな場面でうまく適応できず、
うつ状態になっているような人で、
性格面で検討すべき問題がある場合は、
精神療法として一緒に考えていく必要があります。