うつ病の症状

健康な人でも憂うつな気分になることは、しばしばあります。

しかし、たいていの場合、何か気を紛らわすことをしたり、
何か好きなことに集中する時間を過ごしたり、
一晩眠ったりすれば、憂うつな気分が解消してしまいます。

憂うつな気分が、その場、その日のうちに解消せず、
慢性化して長期間してしまうと、「うつ状態」に陥ります。


うつ病はその症状が、「うつ状態」より悪化し
病的なレベルにまで達したものです。


どこからが病的なレベルで、
どこまでだったら病的とは言えないのか、
その境目は実は明確ではなく、非常にあいまいです。

通常、日常生活で感じる「憂うつ」とか、
数日耐えていると回復しまうような一時的な「うつ状態」は
まだ病的とは言えないでしょう。

それよりも重く長くつらい、普段の暮らしや
仕事をするのに長期間に渡って支障がでるほど、
耐えられないほどのつらさになったものです。

海中逆さま
うつ病の典型的な症状は、「気分が悪い」という自覚症状で、このため、「うつ状態」あるいは「うつ病」は、
病名として「気分障害」とも呼ばれます。
それも耐えられないほどつらい「気分の悪さ」です。


うつ病の症状は、気分の悪さを引き金にして、
人によって更にさまざまな形で表れます。

色々な症状が複合的に発症するのが確認できてはじめて、
総合的に見て「うつ病」と診断されるのです。

うつ病では、日時や時間の経過によって
色々な異なった症状が、複合したり入れ替わったりしながら、
長く続くのが一般的です。

数ヶ月から長い人では数年の単位に及びます。

また、なりかけ~急性期~小康状態~回復期と、
何ヶ月にも渡って、つらさが変動し、
うつ病特有の色々な症状が何の前触れもなく
アップダウンを繰り返します。


このため、効果的な治療や回復を行わなければ、
新たなつらさを長い月日の間、
繰り返し耐えていかなければならないのです。

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経験のない健康な人に、そのつらさを説明できる言葉が無い、
というのももどかしいところです。

「やる気が起きない」とか「つらい、悲しい」とか
「気が重い」といったうつ病の症状のほとんどが、
自分だけのつらさであり、内面的で主観的なため、
経験者以外はほとんど理解できませんし想像もできません。

「立ち上がれないくらい痛い」とか「吐きたくなるくらい気持ち悪い」
といったような分かりやすい説明ができません。

そのつらさを訴えても、中には「怠け者」呼ばわりしたり、
「弱者」扱いしたりする人がいるのも悲しい事実です。

「うつ病」の典型的な症状

過去2週間を振り返ってみて、
だいたいいつも気分が悪くて、
次のような症状を頻繁にあるいは慢性的に経験していれば、
「うつ病」の可能性があります。

特にこういった症状が、以前、元気な時は、
ほとんどなかったのに、最近、強く日常的に
感じられるようになっているのであれば、
「うつ病」の急性期にあると見てよいでしょう。

ぐるぐる横頭 何もやる気が起きない。
 元気がでない。踏ん張りがきかない。
 何もしていなくても、つらい、苦しい
 とても気分が悪い、気分が重い、気分が落ち込んでいる。
 身の周りのことですら面倒くさく、やらなくなってしまった。
(洗濯、掃除、歯磨き、おしゃれ、整理整頓など)

 朝起きれない。夜眠れない。眠りが浅い。あるいは一日中、昼間も眠い。寝ていたい。
 食欲がない。食事が美味しく感じられない。味がしない。あるいはむやみに食べてしまう。
 いらいらして落ち着かない。やっていることに集中できない。
coveringface 仕事が手につかない。てきぱきと片付けられない。仕事を辞めたい。
 くよくよ悩んで先に進めない。簡単なことでも決められない。
 最近、嬉しい、楽しい、という感情を失ってしまった。
 かわいい!きれいだ!美しい!かっこいい!すばらしい!
すてきだな!という感情が無くなってしまった。

 何だか悲しい。些細なことでも泣きたくなる。泣き出してしまう。
 精神的に疲れた、仕事や勉強や家事や育児やその他の
義務的なことを何もかも投げ出したい。今この場から逃げ出したい。

 本当は「助けて!」と叫びたい。(が叫ぶこともできない)
 死にたい、と思う。あるいは死んだら楽になれるかもと、想像することがある。
 今日の楽しみも明日の夢も希望もない。人生に対して絶望感で一杯だ。

どうでしょうか?いくつの症状が該当するでしょうか?

一日に何度くらいこういった感情をいだくでしょうか?
その重さはどうだったでしょうか?

医師の診察

shadows_street気分障害という病名の病気、いわゆる「うつ病」を
医学的に治療する公的に認可された専門家は、
精神科、神経科あるいは診療内科の医師です。

またカンセリングの専門家として
公的に認可されているのは臨床心理士です。

しかし、多くの場合、このような気分の症状を
病院で訴えても、患者の病状がどの程度の重さなのかを
正確に測定するわけでなく、先生の総合的な判断で、
薬が処方されるだけです。


たいていの専門医は、診察時間(一般的には10分前後)の間に、
あなたが、どの程度のどのような症状を訴えたかによって、
診断をし、薬を処方するのです。


「うつ状態」あるいは「うつ病」のあなた固有の症状の重さには
正確に測定できる物差しを当てることができないので、
医師を含めた他の人に正確に客観的なデータで
理解してもらえることはないのです。


このことは、よく理解しておいてください。

ear医師や家族や他の人が、自分と同じように、
自分の苦しみを理解してくれていない、というのは
当然の事実なのですが、「うつ病」の人には、

その事実を受け止められずに、自分の苦しみを、
いわば客観的に証明するために、自傷行為に走る人もいます。

自分の苦しみを誰も客観的には理解して
共有してくれていないということが、
受け入れがたいつらい事実なのです。

専門家(医師、臨床心理士)のところに行っても、
客観的なデータとして、自分の症状のつらさは
測定してくれるところは稀です。

 

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