胸の中が苦しくなるのはどんな時でしょうか?
例えば、怒りやいら立ちを抑えようとすればするほど
かえって胸の中いっぱいに広がってしまう。
あるいは、不安や恐怖感をぬぐい去ろうとすればするほど、
さらに不安や恐怖感が湧き出して止まらなくなってしまう。
ネガティブな感情や気分は、無理に抑えつけたりぬぐい去ったりして、
それが無かったかのように振る舞うと、
逆に雪だるまのように心の中で大きくなって、
手がつけられなくなってしまうことがあります。
アメリカで生まれたセドナメソッドはそんなネガティブな感情や気分に、
直接向き合って、それを一気に解き放つことを目指すエクササイズです。
準備:感情を握りしめる
さっそく、セドナメソッドのエクササイズの準備から始めましょう。
A1) 床に立つか、椅子に座るかの姿勢をとります。深呼吸を2-3回して気持ちを落ち着けます。
A2) 消しゴムか、小さなボールのような、何か壊れにくい小物を準備して、
片手で頑握りしめます。
A3) この固く握った手の中の消しゴムに意識を集中して、
今のネガティブな感情(例えば不安感)を消しゴムの中に込めます。
あたかもそのネガティブな感情が手のひらの中の
消しゴムそのものであるかのようにしっかりとイメージして感じましょう。
《手放す》感覚をつかむ
A4) 消しゴムの中にその感情を十分に込めて、その感情を、
手のひらの中で十分に感じ取ることができたら、息を吐きながら手を開きます。
A5) 消しゴムが床に落ちるのを見て聞いて感じてください。
消しゴムとともに、ネガティブな感情が床に落ちるのを見て聞いて感じてください。
深呼吸をしながら、消しゴムが落ちてしまった後の、
手のひらに残った感覚を十分に味わってください。
これが《手放す》という感覚です。
消しゴムを手放すという感覚と、感情を手放すという感覚が
同じ感覚として感じられるようになるまで何度か繰り返してみましょう。
A6) 次に、目をつぶってやってみましょう。
1)-5)を、何も見ないで繰り返します。
最後の、消しゴムが落ちてしまった後の、
手のひらに残った感覚を十分に味わってみましょう。
《手放す》感覚がさらに敏感に感じられるはずです。
消しゴムも手放した感覚と感情を手放した感覚が同じ感覚として
感じられるようになったでしょうか?
深呼吸しながら繰り返して練習してみましょう。
A7) 次に、消しゴムなしで、同じエクササイズをやってみましょう。
手を握りしめるだけです。
ただし、手のひらには、消しゴムとそれに込めた
ネガティブな感情が、あたかも握りしめられているかのように想像してください。
- 思いっきり力を込めて握ります。
- 息を吐きながら手のひらきます。
- 手のひらから消しゴムと感情がすべり落ちていくの感じましょう。
ゆっくりと深呼吸しながら、手放した後の感覚が手のひらに残っているのを感じます。
この《手放す》感覚、解放する感覚を
手のひらで覚えておいてください。
今後のエクササイズを行うごとに、この《手放す》感覚を思い出してくだい。
セドナメソッド:4つの質問で《手放す》
それではセドナメソッドの感情を解放するエクササイズの本編に入りましょう。
B1)ネガティブな感情を思い起こす
まず最初に、自分にネガティブな感情を引き起こした出来事を思い起こしましょう。
最初のうちは、練習のために、あまり重くない問題を思い起こすようにしましょう。
例えば、職場でいつもイライラさせられるお客さんのこと
- 今、それを思い起こしてどう感じますか?
- 現実の時と同じように、イライラしますか?
あるいは思い起こした時の方が、現実の時よりももっとイライラしますか? - そのイライラした感情をじっくりと確認しましょう。
B2) ネガティブな感情を手のひらに握りしめる
今、このネガティブな感情が自分自身の現在
抱えている感情であるということを確認しながら、
握りしめた拳の中に込めるようにしましょう。
これを自分自身の感情として、拳の中でしっかり受け止め、
認め、味わい尽くしましょう。
B3) 最初の質問
こぶしを握りしめたまま、自分自身にこう問い掛けます。
声に出して戻さなくても構いません。
■ 「この感情を受け入れることができ、ここに存在することを許せますか? 」
その答えは?
あれこれ考えずに、即座に直感的に答えてください。
イエスでもノーでも構いません。
答えがどちらであっても、このエクササイズの効果は変わりません。
1)-2)でネガティブな感情を自分のものとしてとらえ、
それを3)で質問することによって、
このネガティブな感情を受け入れる姿勢が整います。
B4) 2番目の質問
次に、拳を握りしめたまま自分自身にこう問い掛けます。
■ 「この感情を手放すことができますか? 」
その答えは?
これも、あれこれ考えずに即座に直感的に答えましょう。
イエスであってもノーであっても構いません。
その感情を手放すことがなかなかできないでいるという
自分自身を感じていれば、ノーかもしれません。
逆にいつでも簡単に手放すことができるものなのだと感じているのであれば
イエスかもしれません。
このようにして、このエクササイズは、
ひとりでやりとりする一人芝居のように進めます。
この一人芝居は、自分が抱えるネガティブな感情をめぐって、
その扱いをどう感じているのか、どうしようと思っているのか、
自分で自分に問いかける形で進められます。
B5) 3番目の質問
今度は、握り締めた拳に向かってこのように問いかけます。
■ 「この感情を手放してくれませんか? 」
その答えは?
それが望ましいか望ましくないかというような理屈は考えずに、
直感的に即座に答えてください。
イエスかもしれませんしノーかもしれません。
握り締めた拳はあなた自身です。
執着があって手放してくれないかも知れませんし、
簡単に手放してくれるかも知れません。
B6) 最後の質問
最後は、自分に向かってこう聞きます。
■ 「いつ?」
「いつ、手放してくれるのか?」という質問です。
簡単に手放してくれるというのであれば、
「今!」というのが答えになるかも知れません。
B7) 「今!」手放す
答えが「今!」なら、答えると同時に、握りしめていたこぶしを開きます。
「今」手放すのです。
手放しながら、感情が手のひらから滑り落ちていくのを感じましょう。
B8) 今!は無理?
今は無理と感じているのなら、答えられなくても構いませんし、
「今夜、寝るまでに」と答えてしまうかもしれませんが、
それはそれで意味があります。
しっかり自分の直感的な答えを受け止めましょう。
感情から自由に
この一連のエクササイズで、拭いきれなかった感情を
多少解き放ったような体験ができたでしょうか?
感情に囚われて縛り付けられていた自分が
囚われから自由になったような感覚がありますか?
感情がからの解放感が得られ、自由になった気がするまで何度か繰り返してみましょう。
感情を手放すことに上達する
最初はなかなか上手く手放せないことも多いでしょう。
特に重要なのは、
- B1)「ネガティブな感情を思い起こす」で、
まず最初に自分の感情をとらえること、
そしてそれに気づきじっくり見極めること。 - B2)「ネガティブな感情を手のひらに握りしめる」で、
その感情を、自分の内側から湧きだしたものとして認め、
その存在を許すこと
です。
これも1)-2) のサイクルを繰り返すうちに、
だんだんと身につけていくことができるものです。
このエクササイズの繰り返しで、1)-2) が容易にできるようになると、
3)以降の感情からの解放は、それに伴って
ずっとうまくできるようになってくるものです。
徐々に厄介な感情も手放す
はじめのうちは、練習として、あまり重くない問題をいくつか思い起こして、
そのときに起こるネガティブな感情を手放す練習を重ねます。
あまり重くない問題で起こる感情を手放すことができるようになったら、
少しずつ重い問題で起こる感情や厄介な感情も対象にして練習してみましょう。
日常生活に使う
また、日常の生活の中で起こる色々な出来事で、
ネガティブな感情が湧き起こったら、その度に、
このエクササイズを試してみましょう。
いつでもどこでもこのセドナメソッドが使えるようになってくると、
仕事や生活の中でとても役立つツールになってきます。