女性のためのうつ病対策

うつ病の原因、ストレスとは!

ストレスは精神的なことだけではない

ストレスというと、多くの方は人間関係などの
精神的ストレスを思い浮かべがちですが、
ストレスの種類は全部で下記の5つがあります。

 

⒈精神的ストレス

精神的ストレスは、ある出来事に対して
「この出来事は自分に対してマイナスである」
と思うことがストレスです。


落ち込み・悲しみ・恐怖・ひがみ・ねたみ・不安・あせり・苛立ちなどの感情は、

マイナスな思考が脳内で渦巻いています。

 

ストレスの中で、最も強いものは、喪失体験です。

配偶者の死、離婚、夫婦の別居、親族や友人の死など、
いずれも高い評価でストレスとなると発表されています。

脳内では、マイナスの感情が強くなると、
アドレナリンやノルアドレナリンといったホルモンが分泌を活発にします。

脳内でこのホルモンが活発に働いている時は、心も体も緊張しています。
感情は、本能的なものであると共に、
思考次第でマイナスにもプラスにももっていかれます。


例えば、仕事で失敗をしたときに、

「この経験(失敗とは言わない)を生かして次につなげれば、
次はきっといい仕事ができる」

というように、プラスに考えていければ、
精神的ストレスは少なくなります。


たとえプラスに持っていかれないストレスであっても、

「その出来事をただ受け入れる」、
それだけで心のバランスは安定してくるのです。

 

小さいころの環境と性格形成

人によって、性格や気持ちの持ち方は千差万別です。
精神の状態には、気質と性格があります。

どの行動や捉え方がどっちととらえるのは難しいですが、
気質は生まれ持ったものです。


同じ親のもとに生まれて、同じように教育され
育ってきたとしても兄弟で性格が違います。


これは、もともと持っている気質の違いです。

そして、性格は生まれてからの環境によって作られたものです。

性格形成の中で、子供のころの特に養育者との関係は、
時として物事をマイナスに見てしまう癖がついてしまうことがあります。

子供は養育者(通常は両親)に保護のもとでしか生きていけません。
そのため、親との関係を断ち切らないことに無意識に全力を注ぎます。
つまり、養育者(通常は母親が多い)の機嫌を
損なわないように行動をします。

 

例えば、母親が完璧主義の場合、
子供は失敗しないように慎重に行動するようにしますが、

同時に母親がせっかちな性格だった場合、
「早くしなさい」と行動をせかされます。

この状態をダブルバインド(注1)と言い、
相反するメッセージ(多くの場合は命令)を受けているのです。

 

つまり、ブレーキを踏みながらアクセルを踏みなさいと
言っているようなものなので、
子供の心には非常に大きな負担がかかってしまいます。

大人になれば、正確なことを急いでやるというのは
相反することで難しいことだと理解できますが、
子ども時代にはそれが理解出来ません。

そのため「自分はだめな子だ」という自己イメージが出来てしまったり、
何か問題があると「自分のせいではないか」と
過度に思うようになったりしてしまいます。

この思考は大人になるまで引き継がれていきます。
すると物事をネガティブに考えることになります。
(特に女性は、母親との関係を断ち切りにくいので、
母親の影響を強く受ける場合も少なくありません)

 

このようなことを「性格だから」と一言で片づけられることもあります。

しかし、性格形成は子供時代に作られるので、
大人になって変えるのは困難なこともありますが、
心理療法や心理トレーニング次第では簡単に変えられる方法もあります。


ダブルバインド

ダブルバインドとは、相反するメッセージのことで、大人ならば不信感を覚え、子供はどちらを信用していいか分からないため困惑してしまうことを言います。
例: 母親が子供に「怒らないから正直に言いなさい」と怒りながら言う。

 

⒉ 構造的ストレス

 

構造的ストレスは、骨盤・背骨・頭蓋骨などの
ゆがみのことをいうストレスです。

多くの方は体のゆがみで自律神経失調症や
うつ病になると思いませんが、体のゆがみも大きく関係してくるのです。

骨盤や背骨がゆがむのは知っている方も多いですが、
頭蓋骨がゆがむことが知らない方が多いでしょう。

 

実は頭蓋骨というのは、立体パズルのようになっていて、
細かく分けると45個、大まかに分けても23個の
骨が組み合わさっているのです。

このうち脳をとり囲っている頭蓋骨は7つです。

これらの頭蓋骨がゆがむことにより、
脳が機能低下を起こします。

つまり、頭蓋骨がゆがみ正常に思考が働かなることで、
物事をネガティブに考えてしまうことになります。

これは構造的ストレスが、精神的ストレスにまで広がったことを意味します。


また、この頭蓋骨と背骨と骨盤は、硬膜という脊髄を包む膜でつながっています。


そのため、骨盤のゆがみが硬膜を通して頭蓋骨をゆがませる場合も多々あります。


更に、ゆがみとは別に姿勢の悪さも頭蓋骨のゆがみに関係してきます。

頭蓋骨のゆがみは呼吸に関係してきます。

そして呼吸は姿勢に関係してきます。
姿勢を楽な状態に変えるだけで、呼吸が楽になることが多いです。
うつ病の方には呼吸が苦しくなる方も多いですが、
それは姿勢が強く影響していることが多いのです。

 

一般に言われている猫背という状態は姿勢が悪いと
本人もわかっていますが、問題は良すぎる姿勢の方です。

実は良すぎる姿勢は、背中が過度に緊張するため
呼吸が苦しくなりやすくなるのです。

「姿勢がいいね」とよく言われる方は、姿勢が良すぎる場合が多いです。

多くの場合、背中や肩が凝った感じがしたり、
呼吸がしにくく感じたりします。

更に悪化すると、心臓がドキドキしやすくなる場合があります。

一度姿勢を見直してみてください。

 

⒊ 化学的ストレス

簡単に言うと、人間の体の中では常に化学変化が起こっています。

食べた栄養素が体の中で化学変化をしたり、
外界からの刺激でホルモンが流れたりと、化学的な動きが起こります。

この化学的な反応が偏りすぎたりすると、体はストレスに感じます。

日常生活で言うと、栄養の過不足や化学物質の取り過ぎなどがこれにあたります。


栄養素で言うと、ガンマリノレン酸・カフェイン・カプサイシン・
インスタント食品は、 体に非常に化学的ストレスを与えます。

 

また、大気汚染・排気ガス・シンナー・トルエンなど、
大気中に漂い肺や皮膚から体の中に入る化学物質もあります。

実は臭いというものは、体の中に部室が入ってくることを意味します。

大気中に漂っている臭いの分子が、
臭球という臭いを感じる場所(鼻の奥で脳の下)から
体の中に取り入れることで臭いを感じます。

そのため、臭いのあるものは、
食べるのと同じぐらい化学的ストレスに関係すると思ってください。

毒ガスは見ただけでは死にませんが、
毒ガスを吸うと毒は体の中に入ってくるので死んでしまうのです。

その他にも太陽にあたらな過ぎるというのも、
体にはストレスになってくるのです。

 

化学的ストレスを受けやすい人

女性はホルモンのバランスがとても重要ですので、
化学的なストレスは男性よりも影響を受けやすい傾向にあります。

更に女性は、化粧品やマニキュアなどの化学物質に触れやすいので、
化学物質が体の中に入りやすい生活をしています。

最近多くみられるのでは、ネイルなどのショップです。

狭い場所でやっているところも多く、
換気扇があっても部屋中に気化された
化学物質で充満しているところがあります。

慣れる場合もありますが、慣れているのと
体に化学的ストレスが入ってこないのは別の問題です。

慣れていても体は確実に化学物質のストレスにさらされているのです。

 

⒋温度と湿度のストレス

温度と湿度のストレスが多くなるからといって、
それがすくにうつ病になることはありません。

通常は風邪や熱中症などになります。
しかし、精神的ストレスや構造的ストレス、
または化学的ストレスなどをたくさん受けている状態の場合、
温度と湿度のストレスはかなり体に影響してきます。

 

例えば、うつ病になると多くの方は体が冷えてきます。
手足が冷える場合もあれば、体全体が冷える場合もあります。
これは体の中のエネルギーが枯渇した状態で、
熱を作れなくなっているために起こります。

このようなときは体を温めてあげたり、
冷えている手足を温めることが非常に重要になります。

体が冷えているままですと、温度のストレスを
受け続けているのと同じ状態だからです。

人間は体温を一定に保たなければ、正常の回復力が働きません。

そのため、うつ病の治りにくくしてしまうのです。


また、これは暑さも同じです。


夏などの暑い時期に、健康に悪いからといって
無理やりエアコンを付けないでいると、
対応調整(この場合は体を冷やす)にエネルギーが使われてしまい、
正常の回復力が働かないのです。

 

暑くもなく、寒くもない。

この状態を維持することがうつ病には非常にいいのです。


また、ストレスは「環境の変化」ともいえます。


わかりやすい例で言うと、温度が
暑かったり寒かったりすると体は非常に疲れます。

また、せっかく慣れた職場や学校を異動するということも、
環境の変化ですからストレスになります。

(この場合、精神的ストレスなので、人によりストレスにならない人もいます)

 

人間には恒常性という機能があり、
常に一定でいようとする働きがあります。

例えば、体温や血圧など、体のいろいろなところで
常に一定にしようと色々な臓器が動いています。

環境が変わると、体の中の働きが変化しなければなりません。

そのため、そのためのたくさんエネルギーが必要となるのです。


例えば暑いときは汗をかくために汗腺が広がります。

しかし急に寒くなると汗腺を閉じて体温を奪われないようにします。

暑くて汗腺をずっと開いていたのに、急に閉じろと命令されるのは、
車で前に走っていたのに急にバックで走れと言われているようなものです。

このように環境の急激な変化もストレスになるのです。

温度と湿度のストレスを受けやすい人

あなたは、寒がりですか? 暑がりですか? 冷え症ですか?

人にはそれぞれ弱い面があります。


寒さに弱かったり、暑さに弱かったり、または
顔や頭は暑いのに足は冷えているといったように、
人それぞれで違います。

当然ですが、寒がりならば寒さという
温度のストレスを受けやすいですし、
暑がりならば暑さという温度のストレスを受けやすいです。

更に、特に女性の多いのですが、
腎臓が弱い方は湿度のストレスも受けやすくなります。

足がむくみやすい方、よく膀胱炎になる方、
梅雨になると体の調子が悪くなる方などは、
湿度のストレスも受けやすいので、気を付けたいところですね。

 

この5つのうち、直接的にうつ病に関係するのは、
1.精神的ストレス、2.構造的ストレス、3.化学的ストレスです。

 

温度と湿度のストレスは、間接的に関連します。

また、生物学的ストレスは、うつ病の前段階である
自律神経失調症の時に風邪にかかりやすくなるとか、
免疫系統が弱くなるということ関係してきます。

 

 

パニック障害と付きあうための日常生活のポイント

治療中の生活で気をつけること

心身のストレスを減らす

職場の人間関係や家族の問題など心理的なストレスだけでなく、
過労や睡眠不足などの身体的なストレスもパニック発作につながります。
そのため、こころにもからだにも過度に負担をかけないように、
ゆとりある規則正しい生活をこころがけます。

 

回復をあせらない

パニック発作が消失しても、
発作が起きない状態を維持するために
治療はしばらくの間つづけます。

発作が起きなくなったからといって、
すぐに治療をやめてしまうとぶり返すこともあります。
また、予期不安などが完全になくなるまでには時間がかかります。


家族にサポートしてもらう

パニック障害の治療では家族の理解と協力が不可欠です。
自分ひとりでこの病気を乗り切ろうと考えず、
できるだけ家族の方にもこの病気について理解してもらい、
サポートしてもらえるようにすることが大切です。

 

規則正しい生活をおくる

長い療養生活によって基本的な体力が
低下している人も多いです。

十分な栄養と睡眠をとって、
適度な運動を心がけ体力を回復させることが大切です。

寝不足、過労、風邪はパニック発作を起こしやすいので特に注意が必要です。

 

カフェインは控える

コーヒー、紅茶などのカフェインが入ったものを
たくさん飲むとパニック発作が起こりやすくなるため、
できるだけ控えるようにしてください。

アルコールやニコチンでもパニック発作が起こりやすくなります。


パニック障害のきっかけとなる生活上の出来事

  • 炎天下での労働や
    スポーツ、過労

    イメージ画像 炎天下での労働やスポーツ、過労

  • 寝不足、徹夜

    イメージ画像 寝不足、徹夜

  • 風邪

    イメージ画像 風邪

  • 精神的緊張
  • 夏の高温・多湿
  • カフェイン(コーヒーやくすりに含まれる)、アルコール、ニコチン
  • 生理(女性の場合) など

これらはパニック発作だけでなく、
パニック障害が再発するきっかけにもなりますので、
規則正しい生活をこころがけましょう。

 

パニック障害の症状

パニック発作

思いがけないときに突然生じる、動悸や息切れ、
強い不安を伴う発作です。

 

パニック発作はパニック障害の中心となる症状です。
突然、激しい不安と動悸や息切れなどの
さまざまなからだの症状が、何回も繰り返しあらわれます。
発作が生じると、「このまま死んでしまうかもしれない」と
不安になることが多いのですが、
実際にはパニック発作で死ぬことはなく、
10分程度で激しい症状はおさまります。

 

パニック発作の症状

心臓・呼吸器の症状

  • 心臓がドキドキする(動悸、心拍数の増加)
  • 息切れや息苦しさ
  • 喉に何かつまったような窒息感


胸・おなかの症状

  • 胸の痛みや不快感
  • 吐き気やおなかのあたりの不快感


全身的な症状

  • からだの一部のジンジン、ビリビリとしびれるような感じ
  • 発汗
  • からだの震え
  • 寒気または熱っぽい感じ


感覚の異常

  • めまいやふらつき感、気が遠くなるような感じ
  • 今、起こっていることが現実ではないような感じ、自分が自分でない感じ
    (離人症状)


不安・おそれ

  • コントロールを失う・気が狂ってしまうのではないかという恐れ
  • このまま死んでしまうのではないかという恐れ


パニック発作が起こりやすい生活シーン

例えば

  • 電車に乗っているとき
  • 緊張感がとけてほっとしたとき
  • 会社での会議中
  • 以前にパニック発作を起こした場所
  • 車を運転しているとき


パニック発作のきっかけとなる生活上の出来事

疲れていて体調がよくなかったり、
緊張していたりするとパニック発作が起きやすくなります

パニック障害

予期不安

パニック発作が生じることに対する不安です


パニック発作を繰り返しているうちに、
「また発作が起きるのではないか」という
強い不安(予期不安)をいつも感じるようになります。

予期不安は毎日の生活の大きな妨げになります。


広場恐怖

パニック発作が生じる状況に対する恐怖感です


パニック発作を経験すると、
以前に発作を経験した状況が怖くなってしまいます(広場恐怖)。


広場恐怖を感じると、それらの状況を

避けるようになってしまいますので(回避行動)、
生活の行動範囲が狭くなり、
毎日の生活が妨げられてしまいます。

 

うつ病・うつ状態

パニック障害を発症すると、
うつ病・うつ状態を併発することがよくあります


パニック障害が発症して長びくと、
うつ病やうつ状態を併発することがよくあります。


これはパニック障害の患者さんが

心身の不調を気に病んで落ち込み
うつ状態になりやすいというだけではなく、


うつ病もパニック障害と同じように、

脳内セロトニンの働きの低下が関係しているからです。


うつ病では、「食欲がない」「眠れない」「楽しくない」
「自分には価値がない」「憂うつで気分が沈む」などの
症状があらわれます。

 

パニック障害

パニック障害ってどんな病気?

パニック障害では、思いがけないときに突然、
動悸や息切れ、強い不安を伴うパニック発作が生じます。


そしてパニック発作が繰り返されるうちに、

発作に襲われることに対する予期不安
発作が生じる状況に対する広場恐怖を感じるようになり、


毎日の生活に支障をきたすようになってしまいます。


治療が不十分で病気が進行してしまうと、

うつ病うつ状態になるおそれもあります。

パニック障害

このような不安や恐怖は、「考えすぎ」や「心配性」など
気持ちのもち方や性格の問題と思われてしまいがちです。


しかし、パニック障害は脳の働きが

普段のときとは変化しているために、
医学的な治療が必要な状態であることが
最近の研究でわかっています。


パニック障害は100人に1人はかかるといわれており、

だれでもかかるおそれのある病気です。


前向きに治療しましょう。

 

 

パニック障害になりやすい人は?

パニック障害の患者さんは、「女性」「若年者」
「一等親(親、兄弟、同胞)がパニック障害」の場合に
多いことが知られていますが、
だれでもかかる可能性のある病気です。

 

 

パニック障害の原因は?

原因は、今のところまだはっきりしていないところもあります。
しかし、これまでの研究から、
パニック障害は気持ちのもち方でなく、
脳内の不安に関する神経系の機能異常に関連していることが
わかっています。


これは、パニック障害の患者さんでは、

脳の3つの部分に通常とは違った変化が起こっていることが
指摘されているためです。


脳の各部位のそれぞれがもつ機能に応じて、

パニック発作や予期不安、広場恐怖などの
症状があらわれていると考えられています。


これらの部位はお互いに関連しあってネットワークを作っています。

大脳


(1)大脳

思考や意思などの高度な精神活動にかかわる場所です。
パニック障害ではこの部位のセロトニンの分泌異常により、
回避行動などが生じると考えられています。


(2)大脳辺緑系

本能的な不安や興奮が生まれる場所で、
ここで分泌されるセロトニンという物質がその調整を行っています。
パニック障害ではこの部位のセロトニンの分泌異常により、
漠然とした強い不安が続くのではないかと考えられています。


(3)青斑核・視床下部

青斑核は脳内で警報装置のような役割をしていて
危険があるとシグナルを出し、
このサインを視床下部がキャッチし
血管や心臓、汗腺に反応を起こします。


パニック障害ではこの部位の誤作動により、

危険がないのにもかかわらず、パニック発作が
起こってしまうのではないかと考えられています。

うつ病を放置すると・・・

うつ病を治療しないで放っておくと、どうなるのでしょうか?

治療しないと他の病気と同じように、
うつ病の症状も次第に悪化していきます。

そして、状態が悪くなってから治療をはじめても、
治療の成果がなかなか上がらず、
治療の期間も長くなってしまいます。

また、うつ病はきちんとした治療をしないと、
今は何とかふんばって仕事を続けていたり、
家事をすることができていても、

徐々にからだを動かすのが億劫になったり、
自分の殻に閉じこもって、
仕事に行けなくなったり、
日常生活や人間関係にも

さまざまな支障をきたすようになります。

うつ病は、放っておいても
気のもちようで治るというものではありません。

よく気合が足りないからだとか
頑張っていないからとか
やり方が悪いなどと
責められたり自分自身で思ったりしますが

うつ病は明らかにそんな気分的なものとは
違います。

自分の病状に早く気づくことが大事です。

うつ病症状の進行

うつ病も他の病気と同じように、治療せずに放っておくと
徐々に悪化していきます。

ですから、症状が軽いうちにうつ病に気づき、
治療をはじめることが大切です。


気分の落ち込みがあらわれる少し前に、
生活の中で楽しみを感じなくなった、何をしてもおもしろくない、

日常生活のさまざまなことに興味を失った、集中力がなくなってきた、
物事の決断ができなくなったなどの
症状のきざしがあらわれることがあります。


うつ病が進行すると、日常生活にもさまざまな支障をきたすようになります。

例えば・・・
「スーパーに買い物に行っても、何を買ったらよいのか決められない」
「パソコンの電源を入れるのが面倒でいやだ」
「掃除、洗濯、料理をするのが億劫だ」
「部下からの書類に判を押してもよいのか決められない」
「さびしくて誰かにそばにいてほしい」など、仕事や家事の能率も上がりません。 

ひどくなると、動作が鈍くなり、
ゆっくりとした動きになったり、逆に強い不安、
焦燥感からイライラと足踏みをしたり、

ソワソワと落ち着きなく動き回ったりすることもあります。

仕事の能率が上がらないのは自分のせいだと自分を責め、

さらに落ち込みます。

その結果、自分に自信をなくして
仕事をやめてしまったり、ひとりになりたいために
離婚してしまったりします。

もっと悪い状態になると、
うつ病の症状によるつらさから、
いっそこのまま消えてしまいたい、

死にたいと思うほど追いつめられてしまうこともあります。


これを希死念慮といいます。

うつ病と抑うつ気分の違い

 

気分の落ち込みや、やる気が起きないなど、
こころの不調は誰もが経験するものです。


このような気分の落ち込みと、

うつ病の違いを見分ける1つのポイントは、
「どのくらい長く気分の落ち込み(抑うつ状態)が続いているのか」
ということです。


ちょっとした気分の落ち込みなら、2、3日もすれば回復しますし、

カラオケや飲み会などで気晴らしをすれば、
憂うつな気分が吹き飛ぶこともあります。

 

しかし、うつ病では憂うつな状態が2週間以上も続き、
何をやっても「気が晴れる!」ということはありません。

 

うつ病と抑うつ気分の違い

うつ病(DSM-5)/大うつ病性障害* 抑うつ気分
症状 強い 弱い
妄想 妄想的になることがある 現実からずれない
自殺 考えることがある 比較的まれ
日常生活 大きく影響され変化する それほど大きな影響はなく変化も少ない
状況からの影響 よいことがあっても気が晴れない よいこと、楽しいことがあると少し気が晴れる
きっかけ 多くはきっかけがあるが、はっきりしていないこともある はっきりとした誘因がある
周囲から見て 理解できないことが多い 理解できることが多い
持続性 長く続く 徐々に軽くなる
抗うつ薬 よく効くことが多い 効かないことが多い
仕事・趣味 まったく手につかない やっていると気がまぎれる

うつ病  からだ・こころの症状

うつ病 からだの症状

うつ病のからだの症状は、1つではなくいろいろな症状があらわれます。

眠れないことに加えて、頭痛がする、食欲が出ないなどです。


そしてこのような症状があるにもかかわらず、

いろいろな検査をしても原因がわからないということがよくあります。


からだの不調に加えて、よく考えてみると

「毎日が楽しくない」、「何をしてもつまらない」、
「とにかく憂うつだ」など、こころの症状もある場合です。

 

睡眠の異常

  • 眠れない(入眠困難)
  • 朝、目覚ましよりも早く目が覚める(早朝覚醒)
  • 夜中に何度も目を覚ます(中途覚醒)
  • 寝た気がしない(熟眠障害)

 

食欲の低下
(ときに増加)

  • 食欲がない
  • 何を食べてもおいしくないし、食べるのも億劫
  • ダイエットをしていないのに、体重が1か月で数キロも減った
  • 甘い物が欲しくなり、過食になり体重が増加することもある

(食欲や体重は増加する場合もあります)

 

疲労、倦怠感

  • からだがだるい
  • 疲れがずっと残っている
  • ひどく疲れる
  • からだが重い

 

ホルモン系の異常

  • 月経の不順
  • 勃起の障害
  • 性欲の低下

 

その他の症状

  • 頭痛(頭に鍋をかぶったようなすっきりしない鈍い痛み)、頭重感
  • 肩、背中、四肢関節などさまざまな部位が痛む
  • 便秘
  • 心臓がドキドキする(動悸がする)
  • 胃の痛み
  • 発汗
  • 息苦しさ、窒息感


なぜ、うつ病でからだの症状があらわれるのでしょうか?

うつ病では、さまざまなからだの症状があらわれるため、
多くの方にうつ病という自覚がなく、
何らかのからだの病気があるのではと考えて、
内科などを受診する人が少なくありません。


実際に、うつ病患者さんの半数以上が

はじめて病院に行くときには、
精神科ではなく内科を受診していたという報告があります。


では、なぜ、うつ病でからだの症状があらわれるのでしょうか?


それは、心配事があればお腹がキリキリする、

緊張すると胸がドキドキするというように、
こころとからだはつながっているからです。


うつ病は、精神的に落ち込む病気ですが、

そのこころの不調がからだにもあらわれているのです。


また、うつ病は気分の不調をきたすだけでなく、

神経やホルモン、免疫などに影響を及ぼし、
これらが複雑にかかわりあって、
いろいろなからだの症状があらわれると考えられています。


最初筆者は風邪の症状がずっと続いていて

内科に通ってました。


これを心身相関といいます。


さらに、うつ病になると「不安になりやすい」、

「物事を悪くとりやすい」という状態になるため、
普通だったら見過ごす程度のからだの不調も、
とても大きく感じてしまうのです。

 

うつ病 こころの症状
こころの症状でよくあるものは、「抑うつ気分」と「意欲の低下」です。

   抑うつ気分

  • 気分が落ち込む、特に朝の抑うつ気分が強い
  • 悲しい気持ちになる
  • 憂うつだ、何の希望もない

    思考力の低下

  • 集中力が低下し、仕事の能率が落ちた
  • 些細な決断ができない
  • 注意力が散漫になって、人のいうことがすぐに理解できない

    意欲の低下

  • 今まで好きだったことや趣味をやる気になれない
  • 友人や家族と話すのも面倒だし、話していてもつまらない
  • テレビや新聞をみてもおもしろくない
  • 身だしなみやおしゃれに関心がわかない
  • 不安や落ち着きのなさ(焦燥感)でじっとしていられない
  • 毎日生活に張りが感じられない

    逆の症状があらわれることもあります。

    眠れない、食欲がない、落ち込んでいるという症状は
    うつ病でよくある症状ですが、
    ときに逆の症状があらわれることがあります。


    眠れない → 睡眠の過剰があらわれることがあります。(過眠)
    • 朝も遅くまで寝ている
    • 休みの日は1日中寝ている

    食欲がない → 食欲が異常に進むことがあります。
    • いつもよりよく食べるようになった
    • やけ食いにも似ている
    • 夜中によく食べている
    • 数か月で明らかに太った

    落ち込んでいる→不安や落ち着きのなさ(焦燥感)が
    あらわれることがあります。
    • イライラしている
    • じっとしていられない
    • ソワソワした感じ

    注意:特に高齢者のうつ病では、不安や焦燥感
    (イライラしたり、あせったりする)が強く出て
    診断が遅れることもあります。

     

うつ病発症のしくみ(病態)

うつ病の原因を調べる最近の研究では、
脳の神経細胞における情報の伝わり方に
異変が生じているということが報告されています。


私たちは生活の中で、脳から「食べる」、「寝る」などの

本的な動作の命令をからだに伝えていますが、
「意欲」や「記憶」などの感情を伝えたり、知的な命令もしています。


このとき神経の細胞から細胞へ情報を伝えているのが

「神経伝達物質」と呼ばれるものです。

 

この中のセロトニンとノルアドレナリンは、
気分や意欲、記憶などの人の感情にかかわる情報の
伝わり方をコントロールし、こころとからだの働きを
活性化していると考えられています。

 

うつ病では、何らかの原因で神経の細胞と細胞の間にある
セロトニンとノルアドレナリンの量が減って、
情報がうまく伝わらないために、さまざまな症状が
あらわれると考えられています。

うつ病の原因

「うつ病はなぜ起こるのか?」
はっきりした原因はまだよくわかっていませんが、

脳で働く神経の伝達物質の働きが悪くなるのと同時に、
ストレスやからだの病気、環境の変化など、
さまざまな要因が重なって発病すると考えられています。


大切なことは、うつ病はただ1つの原因のみで

発病するのではないということです

 

遺伝的要因
環境要因
・乳幼児の激しい環境
・家族や親しい人の死亡
・仕事や財産の損失
・人間関係のトラブル
・家庭内不和
・就職、退職、転勤、結婚、離婚
・妊娠、育児、引っ越し


身体的要因

・慢性的疲労
・脳血管障害
・感染症、ガン、甲状腺機能の異常
・月経前や更年期、出産後のホルモンバランスの変化
・降圧薬、経口避妊薬などの服用

 

過度のストレスがきっかけになることも

うつ病は、何らかの過度なストレスが引き金になって
起こることもあると考えられています。

さまざまなストレスのうちで特に多いのは
「人間関係からくるストレス」「環境の変化からくるストレス」です。

例えば「身近な人の死」や「リストラ」などの
悲しい出来事だけではなく、「昇進」や「結婚」といった
嬉しい出来事や環境の変化から起こることもあります。

 

うつ病になりやすいタイプ

うつ病になりやすいタイプとして、まじめで責任感が強く、
人あたりもよく、周囲の評価も高い人が多い
ということがいわれています。


このようなタイプの人は自分の許容量を超えてがんばりすぎたり、
ストレスをため込んでしまうため、こころのバランスを崩してしまいます。

すべてに完璧を求めるのではなく、
物事に優先順位をつけてやっていくようにするなど、
考え方を変えていくこともうつ病になりにくくするためには重要です。

 

しかし自分の性格を変えるのはとても大変なことです。

今回の「うつ病克服」は自身の性格を変える作用も
重要な方法だと捉えています。

 

循環気質

元気な躁状態と抑うつ状態を繰り返す双極性うつ病になりやすいタイプで、
社交的、善良、親切で親しみやすい反面、激しやすいという面をもっています。

 

執着気質

義務感が強く、仕事熱心、完璧主義、几帳面、正直、凝り性

などの特徴があります。

仕事の質は高いのですが、量がこなせません。

仕事を一生懸命完成さるために軽い興奮状態が続いたあと、
ガクッときて、抑うつ状態に陥りやすいタイプです。

また二者択一的で白か黒か、ゼロか100かという結果を決めつけたがり、優先順位をつけられないタイプでもあります。

 

メランコリー親和型気質

自己の性格だけでなく、他との関係も重視するタイプです。


そのため他人の評価が大変気になり、いったん何か問題が起きると、

悲観的になって、すべて自分の責任だと考えるタイプでもあります。

 

うつ病は女性と高齢者にも起こりやすい
データによると男性よりも女性のほうが
うつ病になりやすいとされていますが、
これは女性のほうが受診する患者さんの数が多いことに加え、


出産や月経など女性特有のからだの特徴や生活で起こりうる

さまざまな出来事なども理由になっているようです。


さらに、高齢者がうつ病になりやすいのは、
配偶者との死別や、社会的孤立など、
環境的にうつ病になりやすい要因がたくさんあるためです。