摂食障害とうつ病の関係
「摂食障害」とは依存症の一つです。
「依存症」とは、日常生活に支障をきたしているにもかかわらず、お酒や薬物の使用・ギャンブル・買い物などにのめり込み、それがやめられず、自分の力だけではもうどうにもならない
コントロールできない状態を言います。
ある物事に依存し、それがないと身体的・精神的な
平常を保てなくなる状態です。
誰でも何かにしばらく夢中になって続けた事などは
物の収集などはあると思います。
それが自分にとっての楽しみで終わらせることができる人と
(コントロールできる人)、依存症の人は異なります。
自分をコントロールできる時点で依存症とは言いません。
その本人は心の状態が不安定なため、
安心感を得るために他の何かに依存しています。
本人からそれを取り上げるのではなく、
心の状態を安定させることが重要です。
そのため依存症はうつ病を併発していることが
ほとんどです。
依存症を克服するには、
本人が依存症や自分の内面と向き合うことも
もちろん大切ですが、
周りの人の病気への理解とサポートが必要だと思います。
簡単ではありませんが、依存症の本人も
サポートする家族も依存症について
知らないより知っている方が回復に有利と言えます。
摂食障害につきものの誤解
摂取障害はその本質を誤解されていることが多いので
しまいには、悪化させてしまうことがよくあります。
その誤解の一つは、摂取障害は味覚障害などの
食べるための機能の障害とは異なり、
依存症の一つだということです。
また単なるダイエットとも異なります。
拒食症と過食症の違い
摂取障害には拒食症と過食症があり、
この二つとも、それぞれ特徴があります。
拒食症は
・過食を伴わない拒食
・過食(大食い―排出型)を伴食
とに分けられ、
過食は
・大食いー排出型
・大食いー非排出型
とに分かれます。
拒食症と過食症の違いは、体重が極端に少ないこと、
生理が続けて3回以上来ない場合は拒食症で、
単に過食をしているから過食症なのではなく、
極端に痩せていて生理が来ない場合は
「過食(大食い―排出型)を伴う拒食」
ということになります。
拒食症の人は頑張り屋で、努力家、
独りで何でも解決しようと頑張ります。
そして保守的でとても不安感が強いのが特徴です。
一方過食症の人は自分に厳しく、
自分に嫌悪感を抱いているのが特徴です。
保守的な拒食症とは異なり、
過食症の人は好奇心旺盛で
自分を好きになるために
色々な挑戦をしようとします。
「過食を伴わない拒食」の人は
拒食症の要素だけを持ち、
「過食を伴う拒食」の人は
拒食症であっても過食症の要素が強いことになります。
そのため拒食症と過食症とでは、
見守り方が若干変わってきます。
共通している点は、
食に対して異常なこだわりがあり、
また恐怖心があります。
人前で食べることが大変苦痛です。
家族は食べさせようと懸命になって
食卓に本人を引っ張り出そうとしますが、逆効果です。
本人が抱く不安感、劣等感、罪悪感を癒す必要があります。
摂取障害に陥ってしまう人は
幼少期から家族にありのままの自分を出せずに
“良い子でいよう”
“私が我慢すればいい”
“私が頑張ればいい”
と思いながら育ってきていることが多いです。
言葉にできない欲求不満が
摂食障害という形で表れてきたものです。
摂食障害のよくある間違い?
よく摂取障害は“母親の育て方が悪かった”
と言われることがありますが、
これも間違いの一つです。
もちろん摂食障害は
幼少期が大きく影響しているのは確かですが、
子供が摂取障害になってしまった時に、
母親だけを責めても解決にならないどころか
返って本人の心が葛藤し、混乱します。
子供が育つ過程で、
母親の育て方だけが影響したというのも間違いで、
また逆に母親の影響がない・・というのも間違いです。
子供は持って生まれた気質という土台があり
それに育てられ方が影響していると考えます。
母親以外の人が
どんな風に子育てに携わってきたかも重要ですし、
家族全体がどのようにコミュニケーションをとってきたかも
大切です。
できれば家族全体で個々を振り返り、
回復に努めてほしいと思います。
これは摂食障害に限らず、
全ての依存症に共通することです。
自分一人で乗り越える場合は
本当に大変なことだと思います。
治療はもちろん、うつ病や強迫観念等を併発している場合は
抗うつ剤などの併用も必要かもしれませんし、
拒食症が重度で栄養失調を起こしている場合は
入院して栄養を補うことも必要だと思います。
しかしそれは根本的な治療にはならず、
例え摂取障害は善くなっても、
他の依存症に移行もしくはうつ病などが悪化してしまいます。
逆に心のケアを優先し、
病を治すことに前向きになった上で摂食障害が完治すれば、
必然的に心の病も快方に向かうはずです。
摂食障害を改善するポイントとは?
幼少期からの
・私は生きている価値がない
・自分は我慢しなきゃいけない
・一人で頑張らないといけない
という観念を少しずつでも手放して、
自分だけで解決しようとせず、
色んな人の力を借りるようにしていくことです。
自分自身が治そうと考えを改めなければ
周りも協力し難いことになってしまいます。