器質性うつ病(症候性うつ病)

先ほど述べた脳梗塞以外にも、
うつ病を合併しやすい身体疾患は
たくさんあります。

「脳血管性うつ病」は、脳梗塞により
脳神経細胞が破壊されることが
原因だとはっきりと分かっています。

それに対し、脳梗塞以外の
「器質性うつ病」は、なぜうつ病を
合併するのか、未だ原因がはっきりしない
ものが多いのです。

ホルモンとか、免疫、代謝異常など
いろいろ仮説が立てられています。

以下にうつ病を起こしやすい身体疾患を
挙げます。

1.ホルモンが関与している疾患

 副腎疾患(クッシング病、アジソン病)
 甲状腺疾患(バセドウ氏病、橋本病)
 下垂体疾患(末端肥大症、巨人症)

2.自己免疫性疾患

  全身性エリテマトーデス
  慢性関節リウマチ
  多発性硬化症

3.代謝疾患

  糖尿病

4.中枢神経変性疾患

  パーキンソン病
  筋萎縮性側索硬化症

5.うつ病を引き起こしやすい薬剤

  インターフェロン
  抗がん剤一般
  レセルピン(高血圧薬)

これらはほんの一例ですが、
うつ病を引き起こしやすい身体疾患
を把握するのはとても大事です。

これらの身体疾患の治療中にうつ症状が
出た場合に、すぐに気づいて対処できる
からです。

身体疾患で治療中のうつ病の患者さんには、
精神科の薬は特に慎重に選んで投与する
必要があります。

身体疾患の治療経過が良いと、それに
呼応してうつ病も治っていくことが多いので、
治療はやや身体科主導で行われます。