うつ病と依存症の関係について・・アルコール依存症

依存症とは?

〇〇依存症という言葉を聞いたことはあるでしょうか?

うつ病患者ならば誰でも一度は体験する依存症・・・
その中にはご自身に悪影響があるものも多いのです。

それは、うつ病という苦しい暗い闇の中から、
どうにか抜け出したいといいう思いなどや、
どんどん沸いてくるストレスをなんとかして消したいと思う気持ちが、
依存症という形で現れるものです。

 

依存症は大きく分けて2つあります。
①物に対するもの・・アルコール、タバコ、甘いもの、他食物など
②行動によるもの・・買い物、インターネット、自傷行為、性行為など

また、人間関係に対するものもあります。

アルコール依存症

アルコール依存症はその一つであります。
アルコールを飲まないと気分が落ち着かず
そわそわしたり、平常心を保てなくなったりします。

急性アルコール中毒とは異なり、慢性的な一つの症状です。

防止するためには、精神疾患そのものに着目する必要もありますが、
問題点はアルコールの飲酒量などのコントロールを自分でできなくて
過剰摂取となってしまい、最初は精神的な依存であっても
次第に離脱症状などの身体的な依存に陥ることです。

 

いわゆる飲みすぎるために、その結果、
心臓や脳に、別の病気を発症してしまうという結果に
なりかねません。

体の臓器に重大な障害をもたらすこともあります。

 

 

アルコール依存症の症例

一つ実例をあげてみます。

Aさんは自分の責任から両親をたった独りで介護していました。
その両親を亡くし、その直後からアルコールに浸る日々が始まりました。

介護をしている間は多少飲み過ぎている傾向はあったものの、
それほど深刻な飲み方ではなかったようです。

しかし両親が亡くなった後、ご自身に張りつめていたものが
フッと切れたかのようにアルコールに浸り始めました。

あちこちに因縁をつけるかのような悪質な電話をし続けたり、
同時に肝機能障害をもたらし、救急車で病院に運ばれたことで
Aさんの深刻なアルコール依存症が発覚しました。

アルコール依存症の人が必ずいうのが、
自分はそんなにお酒を飲んでいないということです。

自分が陥っているアルコール依存を必ず否定し、
どんなに心身的な障害を来たしていても認めようとしない点は
その患者はほとんど同じです。

実際に、肝機能障害、胃潰ようなどを発症し、極端に痩せ細り、
老人のように髪は荒れて抜けており、歯は溶けてボロボロ、
誰が見ても正常な状態ではありません。

入院して手を尽くしましたが、末期には話をすることもできなくなり、
脳自体が収縮し、脳機能障害も起こすことになってしまいました。

その後、アルコール依存症の専門施設に入りましたが、
結局、最後の脱走のあと、命が尽きてしまったのです。

 

この、アルコール依存症などの物質への依存は、
共に暮らす家族にも多大な影響を及ぼします。

もちろん、その家族にも生活があり、夫が依存症の場合である奥さんは
当然、仕事や家事にも追われるし、第一に社会的な立場があるのです。

そういう生活や立場などを後回しにして、本人の看病をするのは
常識から考えると不可能なことです。

アルコール依存症の治療

その治療は、何よりも本人がアルコール依存を止めたいと強く思い、
どんなに辛くても、その治療に取り組まなくては、家族が一生懸命になっても
どんな特攻薬も治療も、全く無意味であります。

アルコール依存症の人だけではなく、依存症の方全員に言えることは
その長い暗い楽な洞穴から、出たがらない人が多いのも実情です。

それは、本人をまず説得するのに多大な時間を要するし、
取り組もうとする家族にも、リスクが大きい大変なエネルギー消費になります。

アルコール依存症の患者は、自分の人生において、
なによりもお酒を優先するので、考えることは常にアルコールのこと。

本人は、見るも無残な風貌であるのに自覚も全くなく
その状態から抜け出すことをともかく嫌います。

どんな人がアルコール依存症になり易い?

ひと言で言ってしまえば、うつ病になり易い人のように
ともかく頑張ってしまい他が見えない人程陥りやすいです。

 

・自分はダメな人間だと思う
・苦しみから逃れるために現実逃避したい
・両親に抑えられて育ってきた
・自分の人生や生き方の理想とのギャップに常に悩む

 

うつ病になり易いタイプの思考の方と似ている部分もあります。

 


アルコール依存から離れるには?

・自分の環境をなんとか変える
・頑張りすぎるのを止める
・自覚する

 

などが最も当たりまえな条件となります。

実は、アルコール依存症には時には薬などを
必要としないこともあります。

自分に対しての不満や嫌悪感から依存している訳ですから
逆に薬などを手放すことが困難な場合もあるからです。

 

・アルコール依存症の公共の相談窓口を利用する
・アルコール依存症のセラピストさんに相談する

などの方法を取って、家族だけで問題を抱えてしまわないように
することも重要だと思います。

アルコール依存症の患者は、とにかく認めたがらないので
その説得は家族にも莫大な時間と労力を使いますし、
お互いの人生が台無しになってしまうほどですので、

家族のことだからと言って、一人で抱え込まないように
することを念頭において頂きたいと思います。

 

アルコール、タバコとの付き合い方

うつ病の治療中には、お酒、タバコは
やめた方が良いのか、という質問を
よく受けます。

結論から言うと、アルコール依存症を
合併していない限り、断酒の必要ないですし、
また禁煙の必要もありません。実際に試みたことがあればお分かりかと
思いますが、今まで嗜んでいたアルコール、
タバコを一切やめることは、
非常に難しいことなのです。

まず、断酒、禁煙を貫くことに
膨大なエネルギーを使ってしまいます。

うつ病の時はただでさえ、エネルギーが
低下しているのに、断酒、禁煙によって
さらにエネルギーを消耗してしまう
ことになります。

私が厳しく指導するのは、お酒を飲んだ直後に、
抗うつ剤や睡眠薬を飲んでいる人に対してです。

アルコールを摂取したら薬を飲むまで2時間ほど
間をおかなければなりません。

しかし、薬を飲まずに自分で治療している場合には、
そんなことを心配する必要はありません。

ただ、うつ病を自分で治すためには、このアルコール、
タバコに関しても守るべきポイントがあります。

まず、アルコールですが、飲む時間帯は
夕方6時以降とします。
夕食の時でもかまいません。

それ以前ですと、脳がまだ賦活しようとしているので、
お酒を飲むことによってその脳を無理やり
沈静させてしまい、うつ病が治るのを抑えつけて
しまうことになります。

お酒によって高揚した気分になるのは、あれは錯覚です。

お酒により、理性を司る大脳新皮質の活動が抑制されて、
本能、情動主体の大脳辺縁系の活動があらわになるから
です。

しかし、お酒が抜ければ、眠らされていた大脳新皮質が
目覚めて、その時、ガクッと脱落感を覚えることに
なります。

うつ病を治すということは、脳の表面、大脳新皮質の
働きを正常に戻すことも必要なのです。
次にタバコですが、ニコチンの精神安定剤的
な作用をうまく利用する方法があります。

それには、交感神経を賦活させた後、つまり
何か頑張ったあとに吸うのです。

朝の散歩後、食後、ちょっとした作業した後、
つまり自分でちょっと動いた、頑張ったなと
感じた後に、ご褒美の意味で吸うタバコは非常に
おいしいものです。

人間は、活動、攻撃主体のの交感神経系と
休息、消化主体の副交感神経系を交互に
バランスよく働かせると精神的にも肉体的
にも安定します。

朝起きた直後や食前、入浴後などのタバコ
がおいしいという人もよくいますが、
これはリラックスして副交感神経系が
働いているときなのでやめましょう。

アルコール依存症

大量のお酒を長期にわたって飲み続けることで、
お酒がないといられなくなる状態が、アルコール依存症です。

 

その影響が精神面にも、身体面にも表れ、
仕事ができなくなるなど生活面にも支障が出てきます。


またアルコールが抜けると、

イライラや神経過敏、不眠、頭痛・吐き気、下痢、手の震え、
発汗、頻脈・動悸などの離脱症状が出てくるので、
それを抑えるために、また飲んでしまうといったことが起こります。


アルコール依存症は「否認の病」ともいわれるように、

本人は病気を認めたがらない傾向にあります。


いったんお酒をやめても、その後に一度でも飲むと、

また元の状態に戻ってしまうので、
強い意志で断酒をする必要があります。


ですから、本人が治療に対して積極的に取り組むこと、

家族をはじめ周囲の人のサポートがとても大切です。

 


長年の習慣的な飲みすぎがもたらす病気

お酒は「百薬の長」とも「万病のもと」ともいわれます。
適量の飲酒は健康にいいといわれますが、
多量のお酒は心身に好ましくない影響を及ぼします。


飲みすぎが習慣化している人の中には、
時間や場所を選ばずにどんなことをしてもお酒が飲みたくなり、
飲み始めたらやめられなくなるといった状態におちいる人もいます。


この段階は、もしかしたらアルコール依存症かもしれません。

飲みすぎが習慣化してからアルコール依存症になるまでの期間は、
男性で20年以上、女性はその半分の期間といわれています。

 

アルコール依存症は「進行性」の病気


アルコール依存症の患者数は現在日本国内で
80万人以上といわれていますが、その予備軍も含めると
約440万人にもなると推定されています。

 

危険な量はどのくらい?

どのくらいの量から「飲みすぎ」になるのでしょうか。
厚生労働省が推進する「健康日本21」の中では、
アルコール依存症の発症リスクが少ない
「節度ある適度な飲酒」は壮年男性の場合
純アルコール量換算で1日20g以下であるとの数値を示しています。


これは1日ビール500ml

(日本酒1合弱、25度焼酎なら100ml、ワイン2杯程度)に相当します。


1日の飲酒量がこの3倍以上になると

「飲みすぎ」となり、アルコール依存症になるリスクが
高まると警告されています。


単純計算すると1日にビール3本、

日本酒3合弱、25度焼酎300ml、
ワイン6杯程度を超える量にあたり、


お酒に弱い人でない限り、

ついおいしく飲んでしまう範囲といえます。


おいしいお酒を控えることは難しいことですが、

毎日これだけの量を飲み続けることはアルコール依存症に
一歩一歩近づいている可能性があるのです。


まずは日ごろから量をコントロールできる飲み方をする、

1週間に1−2日は飲まない日をつくる、
という習慣を身につけるようにしましょう。

 

早期に治療すれば回復が早い

アルコール依存症が進むと、体や精神に悪いばかりではなく、
飲酒運転で摘発されたり職場でのトラブルが重なって失業、
というように社会・経済的な影響がだんだん大きくなっていきます。

友人や家族との関係も影響をうけ、
自分の内・外の世界で多くの大切なものを
失うことになってしまいます。


アルコール依存症は、早期に治療を始めれば

それだけ治療効果があがりやすい病気です。


とくにプレアルコホリズムという、

依存症の手前できちんとした対策をとれば、
肉体的な問題だけでなく社会的にも経済的にも
より少ない損失で回復が期待できます。


プレアルコホリズムの段階では減酒でも

回復可能なことが多いのです。