死を受け入れる、選ぶ、天に任せる

今回はちょっと深い話….

● 死を受け入れること、
● 死をコントロールすること、
● 死を自ら選ぶこと、
そして
● 死を天に任せること
について書きます。

ちょっと暗いですが、きっとすっきりする話です。

死を受け入れる

死は誕生することと並んで人生最大のイベントです。
死は自分の肉体と精神が無くなる出来事です。
死は人間にとって最大の恐怖です。

死を受け入れる準備を整えるということは、
生きている間のどんな困難や苦痛も受け入れられる
態勢を整えるということにもなります。


例えば愛する者の死を受け入れられれば、
自分の死に対しても受け入れる態勢が整うということになります。


ここで、死を受け入れる5段階を学びなおしておきましょう。

キューブラー・ロスの死の受容5段階

キューブラー・ロスが、不治の病で余命宣告を受けた
沢山の人たちの心理過程を調査・観察してまとめたものが「死の受容の5段階」です。


死にゆく人たちは、次の5段階のプロセスを経て、
間近に迫った「死」を受け入れて死んでいくというものです。


《第1段階 「否定」》

不治の病あるいは余命を宣告されるとそれを認めず、
まずは「自分は死ぬはずがない」と否定します。

「何かの間違いで、身体の一部分だけの問題のはずだ」とか
「試していない新薬が劇的に効いて治るかもしれない」といった希望で、
なんとか事実を捻じ曲げようとしたりします。

《第2段階 「怒り」》

「なんで自分がこんな罰を受けなくちゃならないんだ?」とか
「医者は何をしてくれたんだ?」とか
「神はなんてひどい仕打ちを自分にだけするのか?」などと
怒りを自分の周りや社会や神に向けます。


《第3段階 「取引」》

何とか助からないか?余命を引き延ばせないか?と取引をしようと試みます。

「神に仕えて正しい行いだけをして人生を出直すから
何とか命だけは勘弁してほしい」とか、あるいは

「手足は持って行って構わないから頭と体だけは残して欲しい」などと
死と引き換えの取引を試みます。

また「冷凍にしておいて未来に治療法が発明されたら解凍して治してくれ」とか
「全財産を寄付しますから神の力でなんとか治してください」
といったようなありえない話にすがって助かろうとします。

《第4段階 「抑うつ」》

取引してもそれが成立しないと分かると、
意識が自分の内側に向かいます。

人生のはかなさ、運命の女神のそっけなさに対して失望し、
虚無感や無力感を感じます。

深い抑うつ状態に陥って何もやる気が起こらず、
何にも興味が持てなくなります。

絶望感や悲しみが噴き出してきます。

《第5段階 「受容」》

無力感・絶望感と悲しみを繰り返しながら、
徐々に死を受け入れる態勢に入ってきます。


最終的には、望みも悔いもなく、悲しみも喜びも怒りもなく、
感情的に安らかな状態に入ります。


人間的な煩悩を捨てきった心理状態、いわば悟りの境地に達するのです。

すべての人がこのような死に方をするとは限りませんが、
一般的にこのような段階を踏んで、
人は死んでいくものなのだという理解はしておく方が良いでしょう。

死のコントロール

死とは自分の肉体と精神が無くなる出来事です。

誕生の瞬間を記憶していてその経験を語れる人はほとんどいません。


同様に死を経験して語れる人はほとんどいません。


自分の誕生を自分でコントロールすることが出来る人がいないのと同様に、
自分の死をコントロールできる人も一人もいません。

自殺について

抑うつ感はあまりにも深まると、やがて希死念慮を誘発しがちです。

あらゆるものから解放されたい、そのためにすべてを投げ捨ててしまいたい。

余りにも苦しく、その苦痛の源が自分自身の精神であり、
それが自分の肉体に宿っていることが明らかなので、
肉体もろとも精神とその生み出す苦痛を消滅させようという
行為に走りたくなります。


自殺者は、苦痛から逃れるために、自らの命を経ちますが、
だからと言って、死をコントロールできている訳ではありません。


なぜなら、一旦命を絶つと後戻りさせることができないのです。
コントロールできてるとはとても言えません。

「死」はすぐに必ずやってくる

なぜ生きているのか?とあなたは問いかけます。

なかなかの難問です。


なぜ生きているのか?すべての人それぞれのケースに対して
1つの答えを返せた人は、だれもいません。


必ず人生は死をもって幕を閉じるということは、
生きるという事自体が死を「行き先」にしています。


いずれにせよその「行き先」には誰もが間違いなく必ず到達できます。


その「行き先」にたどりつくためには何の努力もする必要もなく急ぐ必要もありません。


放っておけばその「行き先」には必ず到着できるのです。

行き先=「死」にたどり着いたら

この「行き先」の厄介な点は、いちどその「行き先」に到達したら
次の「行き先」を設定することも出来なくなるし、
次の「行き先」に向けて努力することもできなくなってしまうという点です。

「行き先」に一旦到達してしまえば、
何をすることもできなくなる。

感じることも考えることもできなくなります。

あなたが今、何もしたくないし、何もできないし、
何も感じたくないし、何も感じることもできないし、
何も考えたくないし、何も考えることもできない、という状態だったとしましょう。


死んでしまえば何もすることもなくなるし感じることも考えることもなくなる、
だから死んでしまった方がいいと、あなたは考えているかもしれません。


確かにその通り、だったら死んでしまった方がいいかもしれません。


でもそれは、、運命が確実にやってくれます。
それは運命の仕事です。

あなたの仕事ではありません。

死への到達を天に任せる

死ぬのだったら、その「行き先」への到着は、天に任せておけばいい。

放っておいてもその「行き先」は、
明日やってくるかもしれないし、
1週間あるいは1ヶ後あるいは1年後にやってくるかもしれないし、
少なくともほぼ確実に100年以内には必ず到達できるのです。

「行き先」への到達をいつにするかは天に任せて、
とりあえず3週間、あるいは3ヶ月、最大3年間
がまんして様子を見てみましょう。

長期に患う重度のうつ病と自殺の関係

長期に患う重度うつ病と自殺の関係

一口にうつ病と言っても実際には、極軽いものから
10年以上も患う重度のものまで、その度合いはマチマチです。

中には自殺に走る患者も多く、自殺者のほとんどが
うつ病患者であるいう報告もあります。

うつ病になるとなぜ死にたくなるのか、また、
うつ病で自殺する人の割合などについて説明します。

「自殺念慮」とは?

「死にたい」「消えてしまいたい」と自分から死を望むことを
医学界の言葉で「自殺念慮(じさつねんりょ)」と言います。

こちらでは、うつ病と自殺念慮(自殺)の密接な関係について
お話したいと思います。

うつ病患者の自殺率

うつ病患者の自殺の割合はその患者数の20%前後と言われており
相当な高い確率で死に走るケースがよく見られます。

WHO・世界保健機構の調査によると、
世界中の自殺者のうち、
うつ病を患っていた人は更に30%に上ってしまいます。

日本でも自殺者のうち約60%がうつ病であったと伝えられており、
その約60%のうち80%前後は精神科などを受診していなかったと
されています。

アメリカ合衆国の精神医学者が作成した、
うつ病の診断マニュアルの中には
「死にたいという思いにかられる」といった項目を
診断の材料の一つに挙げていることから考えると、

「死にたい」という状態は、一つのうつ病の症状であると
考えることができます。

なぜうつ病患者の自殺率が高いのか?

うつ病の時は全くなにもしたくなくなる

私が経験したことでお話すると、うつ病だった時は、
何もやる気が起きない虚無感が常に心にあって、

しかもその時の体や思考の状態が言葉にならないほど辛かったので
「こんなに何も楽しくないのなら生きていても仕方がない」と
常に勝手に心に浮かんでいたという事実は確かにありました。

でもそれは、
なにも希望がわかないから→「死にたい」と考えるのではなくて
あくまで勝手に頭に湧き上がる妄想であったと記憶しています。

実際にうつ病患者さんにはそういう妄想に囚われる場合が多いと思います。

病理学的な脳の仕組み

その状態を引き起こす原因は、
病理学的に言うと、うつ病とその脳内の仕組みである
「脳内伝達物質が正常に働いていない」から、
と考えられているそうです。

脳内伝達物質の不足とは?

脳内伝達物質には、セロトニン、ノルアドレナリン、などがあります。

極度のストレスにより、またその蓄積により
情報伝達物質の量が極端に減少して、
脳自体の機能がかなり低下した状態になっています。

正直な感想を言うと、「思考停止」状態です。

同時に、セロトニン(幸せホルモン)の量が減っているので、
ストレスがイライラに変化し、自己暴力性が上昇します。

この自己暴力性は、内側(自分)に向かって働きかけられるので、
自殺願望を引き起こすと言われています。

また、アメリカでも、SSRIと言う抗うつ剤が治療に用いられた際に
その量の加減で、実際に自殺を引き起こしたケースもあります。

抗うつ薬はそもそも、十分に分泌されなくなったセロトニン等の
脳内伝達物質を増やしたりなどの調整をする機能があるはずですが
この働きが何らかの拍子で急に過剰反応を起こすと、自殺願望に
作用してしまうことがあるためです。

これを、賦活症候群(アクチベーション・シンドローム)と呼び、
この作用を踏まえて、SSRIの一種である「パロキセチン」の投薬を
18歳未満の患者には、控えるよう呼びかけることになりました。
(厚生労働省)

 
だからと言って、うつ病患者の自殺願望が減少しているという訳では

ありません。

その「脳内伝達物質」の減少により「うつ病患者」には
高い確率で引きおこる現象であることは間違いない事実であると
考えます。