うつ病を治す悩み方のコツ

生きている限り、悩みはつきものです。

同じことを何十年も悩まなければならなかったり、
一つの悩みが解決すると、

また次の悩みが出てきたり。

先ほどご紹介した症例で、わが子の自殺が
きっかけでうつ病になってしまった方など、
この悩みが時として深刻なうつ病を
引き起こします。

うつ病治療の80%は環境調整と申し上げましたが、
この環境調整の大部分は実は、この悩みの対処
にかかっているのです。

そもそも悩んでしまうのは、それがいつ解決
するか分からないからです。

また、悩みによって自分が生きにくい状態
になっているからです。

悩みが解決する時期があらかじめ分かっていれば
心身を消耗するほど悩んだりはしません。

しかし、悩みが解決する時は必ず来ます。
それは、自分自身の命が終わるときです。

あるいはその前に解決してしまうかも
しれません。

悩みが解決するまで、長くとも
150年以上続くことはないでしょう。

だからといって、悩みを無視して楽観的に
生きるわけにはいきません。

実は、悩みを軽視するよりも、とことん
真剣に悩んだ方が解決や克服は早いのです。

これは、深層心理学でも実証されています。

だから、悩みに対して、いろいろ考え
思い煩うことは、早い解決に向けて
努力しているということになります。

要は、悩んでいることが終わった状態、
願っていることが叶った状態と、
願望をあきらめた状態、
これらのバランスをとって悩めばいいのです。

特にうつ病の間はこの考え方は大事です。

この悩みや願望を放棄するのは、一日のうち
寝るために布団に入ったときです。

このまま寝たまま死んでしまうかもと思って
悩みや願望をあきらめます。

そうすれば少なくとも寝ている間は
脳は悩みに対して汚染されません。

寝たまま翌朝になったら息絶えていた
というのは、どの年齢の人も
あり得ない話ではありません。

そして、朝目が覚めたら、一瞬でいいので
今悩んでいることが解決した状態、
願望が叶った自分をイメージします。

亡くなった人のことを悲しんでいるので
あれば、一瞬、その人が生きている間
一緒にしたことなどを思い出します。

とにかく、今悩んでいることや抱いている
願望に対して、たった5秒でいいので、
プラスのことを思います。

このような形で毎日朝晩、悩みや願望に
向き合えば、あとはたとえ昼間
どんな悲観的、絶望的な考え方を
しても大丈夫です。

あなたの心と身体、そして取り巻く環境は
悩み解決、願望達成に向けて、確実に
動き出しています。

市販の薬を利用してよいか?

最近では、薬局でも「ドリエル」、「ネオディ」
などの睡眠薬をはじめ、精神科関係の薬が
何種類か売られるようになりました。

また、「気分が落ち込むとき」あるいは
「不安なとき」などに効くとされる漢方や
市販の薬も売られています。各職場の健康診断をまわっているときに、
このような市販の精神科関係の薬を
服用している人が多いことを知って
驚いたものです。私も、出回っている市販の睡眠薬、
抗うつ薬、抗不安薬の成分を可能な
限り調べたことがあります。

その結果、病院から処方する薬に比べて
その成分は全て弱く、安全性の面では
問題ないことが分かりました。

しかし、うつ病、睡眠障害を改善させる
ためにはやはり弱すぎて気休め程度にしか
なりません。

それにもかかわらず、その薬を飲まないと
眠れないとか、気分が乗らない、とか
変な意味で薬に依存してしまっている
人が多いのには考えものです。

「ドリエル」という睡眠薬を飲んだにも
かかわらず、寝つきが悪くてイライラして
夜を過ごす人も大勢います。

また、市販の薬をいったん飲み始めてしまうと、
その薬をやめていくタイミングが自分でわからず、
結局いつまでも飲んでいるということに
なりかねません。

病院で処方する薬も、いつまでも飲んでいただく
ものではなく、時期がきたら、タイミングよく減薬し、
中止していきます。

結論を申し上げると、自分でうつ病を治す場合、
市販の薬の助けは一切借りてはなりません。

また、最近では、「気を高める」とかまことしやかに
宣伝している漢方もたくさんありますが、
それらに手を出すのもやめましょう。

それよりも、これまでにご紹介してきたことを
守って堅実な日常生活を送っていくことの
方がうつ病治療には大事です。

うつ病が治りやすい生活リズム

自分でうつ病を治す場合、日常生活の
送り方がいかに重要なポイントとなる
かはお分かりいただけたことと

思います。

それでは、うつ病が治りやすい生活リズム
はどのようなものであるかについて、
典型例をご紹介します。

ご自分の役割、生活パターンに合わせて
アレンジしてくださいね。

生活の中でも軸となるのは起床時間です。
先ほども申し上げたとおり、5時~7時の
間に一度無理してでも起きて、朝の
儀式を行いましょう。

これは、たとえ前の晩寝る時間が遅くなっても、
夜勤で一晩中仕事していても、眠れない夜を
過ごしても、絶対に実行すべきことです。

本当にだるい時期は、朝の儀式のあと、
どうぞ横になって寝てしまってください。

もし、何かやるべきこと、あるいはやってみようかな、
と思うことがあれば、それは午前中に取り組むべき
です。

人間は、午前中、つまり昼食を食べるまでと、
それ以降では、交感神経と副交感神経の
バランスが微妙に違ってきます。

一日のうちで最も交感神経が活発になるのは、
大体朝の儀式を行ってから昼までと
思っておいてください。

この午前中にどこかに出かける、本を読む、
うつ病に関する情報収集をする、
自分のできる家事をする、仕事をする、など
比較的意欲を要するものに取り組みます。

途中、しんどいと感じたら、もちろん中断
して休んで構いませんし、昼まで頑張れば
いいと思えば気も楽になるはずです。

昼食後は、消化も優勢になり、副交感神経、
つまり休息主体になるとお考えください。

仕事や家事の手を休めて寝てしまう、
横になりながら音楽を聴く、
うつらうつらする。

とにかく自分で休んでいる、と実感できる
ことをするのです。

たまに、横になったまま本を読もうとする
人がいますが、これは目が疲れますし、
実は目を通じて脳の視覚野も疲れさせて
しまうので、脳にいい方法とは言えません。

音楽は、先ほどご紹介した種類のものであれば、
脳を疲れさせず、治療にいい効果をもたらします。

午後の仕事や家事は、充分休んだ後の3時以降から
開始するのがベストなのですが、そんな時間が
ない場合も、この昼食後の休息タイムはたとえ
短時間でも取るようにします。

私も、病院でどんなに多忙な勤務をしている時でも、
昼食後は10分間は机に座ってうつらうつらと眠る
時間はキープしていました。

午後3時から6時までは、うつ病の人でも割りと
元気が出る時間です。

やらなければいけないことは再度この時間を利用
して片付ければ、結構はかどります。

しかし、だるいときには無理してはいけない
時間帯でもあります。

その日の自分の気分、体調に応じて動いたり、
休んだりすればよいでしょう。

ある人は、午後の過ごし方を、昼食後は昼寝、
一度ぐっすり眠ってしまって、目覚めたときの
気分で音楽聴いたり、テレビ見たり、
仕事をしたりで過ごしてました。

入浴の時間ですが、長くお湯につかるか、
さっとシャワーで済ませるかにより
ベストな時間が違ってきます。
が、自分の好きな時間でよいでしょう。

そして、夜9時以降は「寝る」ことに
向けて準備をしていきましょう。

眠れる、眠れないを気にすることもあるかと
思いますが、形だけでも、夜は身体は布団の中
というのがとても大事です。

アルコール、タバコとの付き合い方

うつ病の治療中には、お酒、タバコは
やめた方が良いのか、という質問を
よく受けます。

結論から言うと、アルコール依存症を
合併していない限り、断酒の必要ないですし、
また禁煙の必要もありません。実際に試みたことがあればお分かりかと
思いますが、今まで嗜んでいたアルコール、
タバコを一切やめることは、
非常に難しいことなのです。

まず、断酒、禁煙を貫くことに
膨大なエネルギーを使ってしまいます。

うつ病の時はただでさえ、エネルギーが
低下しているのに、断酒、禁煙によって
さらにエネルギーを消耗してしまう
ことになります。

私が厳しく指導するのは、お酒を飲んだ直後に、
抗うつ剤や睡眠薬を飲んでいる人に対してです。

アルコールを摂取したら薬を飲むまで2時間ほど
間をおかなければなりません。

しかし、薬を飲まずに自分で治療している場合には、
そんなことを心配する必要はありません。

ただ、うつ病を自分で治すためには、このアルコール、
タバコに関しても守るべきポイントがあります。

まず、アルコールですが、飲む時間帯は
夕方6時以降とします。
夕食の時でもかまいません。

それ以前ですと、脳がまだ賦活しようとしているので、
お酒を飲むことによってその脳を無理やり
沈静させてしまい、うつ病が治るのを抑えつけて
しまうことになります。

お酒によって高揚した気分になるのは、あれは錯覚です。

お酒により、理性を司る大脳新皮質の活動が抑制されて、
本能、情動主体の大脳辺縁系の活動があらわになるから
です。

しかし、お酒が抜ければ、眠らされていた大脳新皮質が
目覚めて、その時、ガクッと脱落感を覚えることに
なります。

うつ病を治すということは、脳の表面、大脳新皮質の
働きを正常に戻すことも必要なのです。
次にタバコですが、ニコチンの精神安定剤的
な作用をうまく利用する方法があります。

それには、交感神経を賦活させた後、つまり
何か頑張ったあとに吸うのです。

朝の散歩後、食後、ちょっとした作業した後、
つまり自分でちょっと動いた、頑張ったなと
感じた後に、ご褒美の意味で吸うタバコは非常に
おいしいものです。

人間は、活動、攻撃主体のの交感神経系と
休息、消化主体の副交感神経系を交互に
バランスよく働かせると精神的にも肉体的
にも安定します。

朝起きた直後や食前、入浴後などのタバコ
がおいしいという人もよくいますが、
これはリラックスして副交感神経系が
働いているときなのでやめましょう。

たとえ食欲なくても食べるべきもの

うつ病の時は食欲が減退してしまったり、
あるいは食べる気力さえなくしてしまう
こともあります。

特に朝、全く食べられない人もいます。病院では、全く食べられない人には
必要カロリーや水分を点滴で補ったり、
エンシュア・リキッドという経腸栄養剤
を与えたりします。よって自分でうつ病を治療する場合には、
食べ物の面からもアプローチする必要が
あります。

どんなに食べたくなくても
うつ病の時にこそ、摂取すべき
ものが3つあります。

牛乳、バナナ、にんにくです。

これらは、医学的にも栄養学的にも
免疫力を高め、元気を出すことが
実証されているのです。

簡潔に言うと、
牛乳はカルシウムの摂取、
腸の排泄機能を高めます。

そして、気持ちの不安定さやイライラを
改善させます。

バナナは消化が良く、カロリーが高いため、
これは食欲ない時にこそ食べるべき
ものです。

悲観的な気持ちや焦燥感を和らげます。

にんにくは、ビタミンB6が豊富で、
食べれば元気になれるものです。

免疫力を高め、意欲を改善させます。

にんにくは、刻んで料理の中に入れたり、
スライスしてカリカリに焼いて
食べてもおいしいものです。

以上のことは、私がメンタルヘルスに
関わっているときに、栄養学を勉強して
知ったことです。

実際、これら3つの食べ物を毎日欠かさず
食べていた人は、うつ病をしっかり克服
できていました。

にんにくのきつい臭いが気になる方は
夕食の時に食べればよいのです。

極端な話、食欲が全くない時は、
朝牛乳コップ1杯、昼バナナ1本、
夕食にんにく1個スライスして焼いたもの
というメニューでも構いません。

寝てばかりでも朝必ずやってほしいこと

うつ病の治療中でも、送っている
生活パターンは人それぞれです。

日中仕事している人もいれば、夜勤の

人もいます。

辛くてほとんど一日中寝ている人。
朝起きれずに午後3時頃になって
やっと起きられる人。

ただ、うつ病の治療中に限っては、
夜起きて仕事をして朝寝るという
夜勤は、あまり病気回復に良い
ものではないと心に留めておいてください。

とにかく、様々な理由で昼間も寝てると
いう人でも、一つだけ必ず毎朝実行して
いただきたいことがあります。

それは、朝5時から遅くとも7時までの間、
一度起床するのです。

目覚まし時計をいくつもかけたり、
人に起こしてもらったり、
とにかく無理やりで構いません。

目が覚めたら、必ず布団から出て
歯磨きして顔を洗います。

その後、窓を開けて、深呼吸を
3回行ってください。
必ず、外の空気を吸い込んでください。

これは、雨でも雪でも嵐の日でも
必ず行います。

深呼吸を行えば、自分の肺の動きを
感じることができるはずです。

その後、余力のある人のみ、ストレッチを
5分ほど行います。

あるいは朝6時半のNHKラジオ体操を
行ってもよいでしょう。

その後はたとえパン1切れでもよいので、
朝食をとり、お茶など飲みやすいもので
水分をきちんと取ります。

トイレに行きたくなったら、尿でも便でも
どんどん排泄してしまってください。

身体の中の老廃物はきちんと取り除くことが
大切です。

さらに余力のある人は、たとえ5分でもいいので、
外に散歩に行きましょう。

または、光療法のところでご紹介したように、
高照度照明器具があれば、たとえ5分でも
身体にあてるとよいでしょう。

朝食をとった後、疲れを感じたら、再び
横になって寝てしまって構いません。

新聞を読んだり、テレビを見たくなったら、
それを行って、やはり疲れた、いつでも
横になって構いません。

横になった後、結果的に一日中寝てしまう
ことになっても差し支えありません。

朝一度起きて洗面を行って深呼吸、朝食。
これを朝の儀式として習慣化して
しまいましょう。

これさえやれば、あとは一日中何を
やっててもいいのです。

この朝の儀式を毎日継続することで、
何かが違ってくるはずです。

そして、これを継続することで、
間脳の視床下部に良い刺激が
与えられ、生体リズムが整う
ようになるのです。

これは大脳の働きを回復させる第一歩に
なるのです。

とにかく、この朝の儀式を行っていると
うつ病の治りが早い、と多くの例から
確信を持って言うことができます。

調子悪いことを周りに伝える

自分で「うつ病かな?」と判断しても、
これまでと同じ生活を送っていては
いつまで経っても治りません。

仕事をしている方、家事を担っている方、
子育て中の方、ご家族の介護をしている方、
受験生の方、一人暮らしの方など。どの方もみんな、休息中心の生活に変えて
いく必要があります。まず、ご家族、同級生、友人、同僚、上司
など、普段の生活で接するあらゆる人に
さり気なく、「最近調子悪い」ことを
伝えましょう。

理解のあるご家族や友人には
「うつ病かもしれない」とはっきり
伝えてもよいでしょう。

それ以外の人には、
「最近、あまりよく眠れなくて」とか
「身体全体がだるくて」
とさらっと伝えればよいのです。

また、精神科ではないけれど、普段
かかりつけている診療所などのが
あれば、そこの医師にも、
きちんと伝えておきましょう。

その際、「うつ病かもしれない」と
お話してもいいですし、または、
眠れない、気分が落ち込む、疲れやすい、
など具体的にお話してもよいでしょう。

そして、「病院に通うにはちょっと
遠すぎるので、もうしばらく自分で
様子みてみたい」と最初にみんなに
伝えておくことも肝心です。

このようにすれば、周りに気兼ねなく、
自分の調子に合わせて生活ペースを
落としやすくなります。

無理なことはやらない、と自分で自分を
守る体制作りがをしなければ、
うつ病は治せるものではありません。

病院に行かずにうつ病を治す方法

それでは、安全に通える病院が
近くに見つからなかった場合、
うつ病に対してどのように

対処すればよいのでしょうか?

その場合は、まず「投薬20%、環境80%」
の環境80%から責めていけばよい
わけです。

ある程度、うつ病の症状が回復してきた
ところで、月1回の割合で通院し、
1ヶ月単位で処方を受けても
良いわけです。

通常は薬の処方は2週間までですが、
通院間隔の関係で、1ヶ月分処方
することはよくあります。

中には、抗うつ剤などを服用することに
抵抗があって、最初から最後まで
薬を飲まずにご自分でうつ病を治した
方もいらっしゃいます。

病院に行かずに家でうつ病を治す場合、
第一に重要なことは、「うつ病」に
関しての正確な情報を入手することです。

病院で「うつ病」と診断されるわけでは
ないので、果たして本当にうつ病かどうか
気になることも多いでしょう。

書籍、テレビ番組、インターネットなど、
あらゆる方法を利用して、うつ病に関する
ことなら、何でも見たり聞いたりして
おくのです。

うつ病の診断基準と照らし合わせながら、
自分自身がうつ病に近い状態であるかを
冷静に判断していきます。

可能でしたら、ご家族、知人、友人にも
一緒に判断してもらって良いでしょう。

それで、もしご自分で「うつ病に近い状態」
あるいは「もう既にうつ病になっている」
と判断できたら、迷うことはありません。

すぐにご自分でうつ病の治療を始めましょう。

その具体的な方法をこれからご紹介します。

うつ病にかかりやすい性格

うつ病にかかりやすい性格として、本などでは
一般的に次の性格例あ挙げられています。

真面目、几帳面、完璧主義、責任感が強い、頑張り屋、

律儀、凝り性、仕事熱心など。

これらの性格は「執着性格」と言われ、精神科医
下田光造が名付けたものです。

また、ドイツの精神科医のテレンバッハにより
「メランコリー親和型性格」とも呼ばれています。

では、これらに当てはまらない性格の人、例えば
自己本位、ずぼらな性格の人はうつ病になる心配なし、
と安心してよいのでしょうか?

答えは、No! です。

そもそも、性格とは持って生まれた「気質」に上塗りされて
できたものです。
そして、この性格も流動的です。

性格は、場所、環境、出来事により、また一緒にいる人に
より影響されて様々に変化します。

人間は、環境、体内ホルモン、年月(時間)、いろいろな
要因に左右される生き物だからです。

ですから、「性格」とよりも「性格傾向」といった方が
適切かもしれませんね。

また、「人格」という言葉も使われますが、これは性格を社会面
から見た要素で使うことが多いので、「性格」とほぼ同義語と
考えられてよいでしょう。

うつ病になりやすいのは、性格ではなく、環境、出来事に対する
反応の仕方なのです。

これからの症例を見ると、様々な人がうつ病にかかっていること
がお分かりになるでしょう。

セドナメソッド:ネガティブな感情から自由に!

胸の中が苦しくなるのはどんな時でしょうか?

例えば、怒りやいら立ちを抑えようとすればするほど
かえって胸の中いっぱいに広がってしまう。


あるいは、不安や恐怖感をぬぐい去ろうとすればするほど、
さらに不安や恐怖感が湧き出して止まらなくなってしまう。


ネガティブな感情や気分は、無理に抑えつけたりぬぐい去ったりして、
それが無かったかのように振る舞うと、
逆に雪だるまのように心の中で大きくなって、
手がつけられなくなってしまうことがあります。

アメリカで生まれたセドナメソッドはそんなネガティブな感情や気分に、
直接向き合って、それを一気に解き放つことを目指すエクササイズです。

準備:感情を握りしめる

さっそく、セドナメソッドのエクササイズの準備から始めましょう。

A1) 床に立つか、椅子に座るかの姿勢をとります。深呼吸を2-3回して気持ちを落ち着けます。


A2) 消しゴムか、小さなボールのような、何か壊れにくい小物を準備して、
片手で頑握りしめます。


A3) この固く握った手の中の消しゴムに意識を集中して、
今のネガティブな感情(例えば不安感)を消しゴムの中に込めます。


あたかもそのネガティブな感情が手のひらの中の
消しゴムそのものであるかのようにしっかりとイメージして感じましょう。

《手放す》感覚をつかむ

A4) 消しゴムの中にその感情を十分に込めて、その感情を、
手のひらの中で十分に感じ取ることができたら、息を吐きながら手を開きます。


A5) 消しゴムが床に落ちるのを見て聞いて感じてください。

消しゴムとともに、ネガティブな感情が床に落ちるのを見て聞いて感じてください。
深呼吸をしながら、消しゴムが落ちてしまった後の、
手のひらに残った感覚を十分に味わってください。

これが《手放す》という感覚です。

消しゴムを手放すという感覚と、感情を手放すという感覚が
同じ感覚として感じられるようになるまで何度か繰り返してみましょう。

A6) 次に、目をつぶってやってみましょう。
1)-5)を、何も見ないで繰り返します。


最後の、消しゴムが落ちてしまった後の、
手のひらに残った感覚を十分に味わってみましょう。

《手放す》感覚がさらに敏感に感じられるはずです。

消しゴムも手放した感覚と感情を手放した感覚が同じ感覚として
感じられるようになったでしょうか?

深呼吸しながら繰り返して練習してみましょう。

A7) 次に、消しゴムなしで、同じエクササイズをやってみましょう。
手を握りしめるだけです。
ただし、手のひらには、消しゴムとそれに込めた
ネガティブな感情が、あたかも握りしめられているかのように想像してください。

  • 思いっきり力を込めて握ります。
  • 息を吐きながら手のひらきます。
  • 手のひらから消しゴムと感情がすべり落ちていくの感じましょう。

ゆっくりと深呼吸しながら、手放した後の感覚が手のひらに残っているのを感じます。

この《手放す》感覚、解放する感覚を
手のひらで覚えておいてください。

今後のエクササイズを行うごとに、この《手放す》感覚を思い出してくだい。

セドナメソッド:4つの質問で《手放す》

それではセドナメソッドの感情を解放するエクササイズの本編に入りましょう。

B1)ネガティブな感情を思い起こす

まず最初に、自分にネガティブな感情を引き起こした出来事を思い起こしましょう。
最初のうちは、練習のために、あまり重くない問題を思い起こすようにしましょう。
例えば、職場でいつもイライラさせられるお客さんのこと

  • 今、それを思い起こしてどう感じますか?
  • 現実の時と同じように、イライラしますか?
    あるいは思い起こした時の方が、現実の時よりももっとイライラしますか?
  • そのイライラした感情をじっくりと確認しましょう。

B2) ネガティブな感情を手のひらに握りしめる

今、このネガティブな感情が自分自身の現在
抱えている感情であるということを確認しながら、
握りしめた拳の中に込めるようにしましょう。


これを自分自身の感情として、拳の中でしっかり受け止め、
認め、味わい尽くしましょう。

B3) 最初の質問

こぶしを握りしめたまま、自分自身にこう問い掛けます。
声に出して戻さなくても構いません。


「この感情を受け入れることができ、ここに存在することを許せますか? 」

その答えは?
あれこれ考えずに、即座に直感的に答えてください。

イエスでもノーでも構いません。


答えがどちらであっても、このエクササイズの効果は変わりません。
1)-2)でネガティブな感情を自分のものとしてとらえ、
それを3)で質問することによって、
このネガティブな感情を受け入れる姿勢が整います。

B4) 2番目の質問

次に、拳を握りしめたまま自分自身にこう問い掛けます。

「この感情を手放すことができますか? 」

その答えは?
これも、あれこれ考えずに即座に直感的に答えましょう。

イエスであってもノーであっても構いません。


その感情を手放すことがなかなかできないでいるという
自分自身を感じていれば、ノーかもしれません。

逆にいつでも簡単に手放すことができるものなのだと感じているのであれば
イエスかもしれません。

このようにして、このエクササイズは、
ひとりでやりとりする一人芝居のように進めます。


この一人芝居は、自分が抱えるネガティブな感情をめぐって、
その扱いをどう感じているのか、どうしようと思っているのか、
自分で自分に問いかける形で進められます。

B5) 3番目の質問

今度は、握り締めた拳に向かってこのように問いかけます。

「この感情を手放してくれませんか? 」

その答えは?
それが望ましいか望ましくないかというような理屈は考えずに、
直感的に即座に答えてください。


イエスかもしれませんしノーかもしれません。


握り締めた拳はあなた自身です。


執着があって手放してくれないかも知れませんし、
簡単に手放してくれるかも知れません。

B6) 最後の質問

最後は、自分に向かってこう聞きます。
「いつ?」
「いつ、手放してくれるのか?」という質問です。

簡単に手放してくれるというのであれば、
「今!」というのが答えになるかも知れません。

B7) 「今!」手放す

答えが「今!」なら、答えると同時に、握りしめていたこぶしを開きます。
「今」手放すのです。
手放しながら、感情が手のひらから滑り落ちていくのを感じましょう。

B8) 今!は無理?

今は無理と感じているのなら、答えられなくても構いませんし、
「今夜、寝るまでに」と答えてしまうかもしれませんが、
それはそれで意味があります。

しっかり自分の直感的な答えを受け止めましょう。

感情から自由に

この一連のエクササイズで、拭いきれなかった感情を
多少解き放ったような体験ができたでしょうか?


感情に囚われて縛り付けられていた自分が
囚われから自由になったような感覚がありますか?


感情がからの解放感が得られ、自由になった気がするまで何度か繰り返してみましょう。

感情を手放すことに上達する

最初はなかなか上手く手放せないことも多いでしょう。

特に重要なのは、

  • B1)「ネガティブな感情を思い起こす」で、
    まず最初に自分の感情をとらえること、
    そしてそれに気づきじっくり見極めること。
  • B2)「ネガティブな感情を手のひらに握りしめる」で、
    その感情を、自分の内側から湧きだしたものとして認め、
    その存在を許すこと

です。

これも1)-2) のサイクルを繰り返すうちに、
だんだんと身につけていくことができるものです。


このエクササイズの繰り返しで、1)-2) が容易にできるようになると、
3)以降の感情からの解放は、それに伴って
ずっとうまくできるようになってくるものです。

徐々に厄介な感情も手放す

はじめのうちは、練習として、あまり重くない問題をいくつか思い起こして、
そのときに起こるネガティブな感情を手放す練習を重ねます。


あまり重くない問題で起こる感情を手放すことができるようになったら、
少しずつ重い問題で起こる感情や厄介な感情も対象にして練習してみましょう。

日常生活に使う

また、日常の生活の中で起こる色々な出来事で、
ネガティブな感情が湧き起こったら、その度に、
このエクササイズを試してみましょう。


いつでもどこでもこのセドナメソッドが使えるようになってくると、
仕事や生活の中でとても役立つツールになってきます。