人間の「やる気」には、そもそも限りがあるという話を前の記事で書きました。
「やる気」を使っていけばどんどん消耗しますが、
「やる気」が補充されるペースはゆっくりとしています。
「やる気」の総量に限りがあるのなら、
補充されるゆっくりしたペースに合わせて
「やる気」を効率的に使う必要があります。
今回の記事では大きな「やる気」をいちどに出さなくても、
ちょっとした小さな「やる気」で行動を起こしたり、
無理なくやり抜いたりするためのコツを紹介しましょう。
《1:できるだけ小さく》最小限のやる気で踏み出せる一歩
何を始めるにあたっても、特に最初の一歩を踏み出すのは「抵抗」があります。
最初に一歩を踏み出すだけのやる気は出せるか?
そこまで自信がない、やる気も出ないという人もいるでしょう。
それでは最初の一歩に集中しましょう。
やろうと思っていること、やらなけらばならないことは、
やる気が無いときでも、一歩でも進められるようにハードルを下げるのです。
最初の一歩は簡単に踏み出せるような、できるだけ低い目標設定にするのです。
たとえば、ウォーキングを習慣にするための最初の1歩は、
「ウォーキング用の靴を履く」だけにします。
1日目は靴をはいて終わり。
2-3分、履き心地を味わったら、そのまま靴を脱いで、部屋に戻っても構いません。
これが出来たら、祝杯を上げても良いくらい重要な一歩です。
2歩目は、最初の一歩の後の最初の一歩
1日目に靴を履くことができたら、
2日目は「それをはいて家の前まで出る」だけにします。
これもまた小さな1歩です。
1日目の最初の一歩の後にやってくる最初の一歩です。
履いたウォーキングシューズで家の前まで出るのもまた、
靴を履くのと同じくらい簡単なステップです。
このようにして一歩を二歩に二歩を三歩にと少しずつ増やしていけば、
大きな「やる気」を出す必要が無くなるのです。
これぐらい小さなやる気だったら、一日立てば十分に回復できるペースです。
3歩目も4歩目も小さな一歩、大きな目標に挑戦しない
こうやって、3歩目も4歩目も小さな一歩を積み重ねていきます。
ウォーキングといえば、20分とか30分とかやらなければ意味がない、と
考えるのは他人の価値観に振り回され過ぎています。
最初から大きな目標に挑戦すると、大きな「やる気」を消耗してしまいます。
始める前から、どんなウェアを着ていったらいいだろうかとか、
歩きながら音楽を聴いたほうがいいだろうかとか、
出来るだけ気持ちの良いコースを歩くにはどこに行ったらいいだろうかなどと、
頭の中でたくさんの小さな決断をしなければなりません。
たくさんの決断をしなければ、ちいさな「やる気」は続けられる
たくさんの決断をすると、たくさんの「やる気」を使い切ってしまいます。
その結果「めんどくさい」という気持ちが芽生えてしまいます。
「めんどくさい」という気持ちを乗り越えるためは、
大きな「やる気」を消耗する必要があり、結局、終いには
「やる気」をブロックしてしまうのです。
最初のー歩、その次の一歩と積み重ねていく一歩一歩を、
できるだけ小さく区切って、
「やる気」がなくてもできるような単位にまで落としておくこと。
一歩のハードルの高さを最初のうちから低くしておくことがコツです。
《2:2分間で》惰性で続けられるステップ
この「一歩」は2分以内に済ませられる程度にまで、
簡単に短いものにしておくのが良いとされています。
人間の瞬発的な「やり抜く力」の限界は2分程度だからです。
2分程度で、とても短い簡単な課題をこなすことができれば、
小さな成功体験が成果になり、心理的な「報酬」になります。
小さな報酬であっても、それは次の行動への「やる気」の補充につながります。
やる気を2分間以上維持できるか?
瞬発的な「やりぬく力」は最大2分しか持ちません。
大きな「やる気」を出す必要もなく、小さな「やる気」だけで、
その次の行動に結びつけて続けていくには、「惰性」が必要です。
先程のウォーキングの例で言えば、実際のところ、
靴を履いてちゃん家の外に出てしまえば、
その先10メートル歩くのに、ほとんど「やる気」を絞り出す必要はありません。
さらに、 10メートル歩いたら30メートルさらに歩くのにも、
ほとんど「やる気」が必要ありません。
人間は、いったんある行動を始めて少しでも継続すると、
その後は大きな「やる気」も強い意志も必要なくなり、
とてもわずかな「やる気」と「惰性」だけで、
行動を続けることができるものなのです。
《3:じゃま者を消せ》やる気と惰性の障害物
もっとも、そんな行動は「惰性」で続けているので、
目の前にちょっとした障害物が立ち塞がると、
あっという間にストップしてしまいます。
障害物を乗り越えるのには、大きな「やる気」と
強力な意思の力を必要としてしまい、挫折してしまうことがあります。
そういった障害物はできるだけ事前に排除しておきましょう。
今やろうとしている事に関係のないじゃま物や
余計な考えは視界の片隅や頭の中の片隅にあるだけでも、
いつ「惰性」を止めてしまう障害物になるとも限りません。
例えば、会社での事務作業でいえば、作業の気が散ってしまう環境を排除しましょう。
- 今の作業に関係のない机の上のすべての書類や物
- メールボックスにたまっている未読のメール
- 開封していない郵便物
- 棚に置いてある過去1年以上使っていないもの
- PCの画面の片隅で開けっ放しにしてあるFacebookやTwitterのウィンドウ
- 15分ごとにメールボックスを見に行く事
そして頭のなかにある、「やらなくっちゃ」リストも…
紙に書き出して10行以上あるようだったら、それは、
頭のなかの「やる気」をブロックし始めています。
前の記事に書いたように、徹底的に「やらないリスト」に
移し替えてふたをして見ないようにしましょう。
このようにして、小さな一歩を踏み出せる小さなやる気さえあれば、
小さなスタートをすることができ、後はわずかな「惰性」で
小さなステップを積み重ねていくことができます。